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時流 | 土門「辛」聞

支離滅裂の自民党農政族「減反強化方針」 | 農業経営者 5月号 |  (2009/05/01)

【土門 剛 -profile

減反強化で農家の農協離れを誘発



石破茂農水相の「減反見直し」発言に、自民党農政族が猛反発している。その「理論的支柱」は、いまや農政族の幹部クラスにのし上がった農業政策基本委員会の西川公也委員長。最近、「理論」の集大成を党の機関誌に連載(3回)してこられた。さすが学究の道(東京農工大・大学院卒)にも進まれただけあって、タイトルも「農業政策講座」。中身は羊頭狗肉。選挙前とあってか、単なる政党のプロパガンダでしかない。

本論の前に、「減反見直し」発言についての総括を改めてご披露しておきたい。これを打ち出した石破農水相の本意は、米価を国際水準近くにまで下げて、コメの需要拡大につなげ、日本のコメに「元気」を注入、生産者には米価下落分を経営安定対策で埋めようというものであろう。

これは水田の潜在的な生産力に着目した至極真っ当な政策である。少々粗っぽく説明すれば、米価を国際水準価格近くにまで近づけてコスト競争力を増せば、コメの需要は飼料用米や米粉など新たな需要や、加工用の需要も増えるであろうと考えたのである。マーケットのメカニズムを正しく理解した考えで、筆者も大賛成。

小学生でも分かるのは、国際水準価格近くにまで近づければ、年間80万tに達したミニマム・アクセス(MA)米の扱いも整理ができる。それだけでも減反緩和の一助になると期待できる。いずれWTO農業交渉も決着する。かりに低率関税受諾という展開になれば、減反制度が従来のままというわけには参らない。

それはそれとして、減反面積の上積みはこれ以上無理。これ以上強制的に農家に割り当てれば農家の猛反発を喰らうだけ。その矛先は政治と行政と農協に向かうことは火を見るより明らか。早晩、「減反見直し」発言は避けられないのである。

西川センセーほどのインテリが、これに反対するのは解せない。手を変え品を変え従来の減反手法を続けても、米価を維持することは不可能なことがご理解頂けないのは残念。それよりも日本のコメが競争力をなくし、若い農業後継者も育てることができなかったことをいかにお考えか。農協も減反強化と同じペースですっかり元気をなくしてしまった。

「減反見直し」発言に西川センセーが猛反対する理由。懸命なる読者諸兄は何となくお分かりだろう。「減反見直し」発言の前提に「選択減反制」導入があり、これに農協組織が猛反対していて、西川センセーはそれを忠実に代弁しただけの話。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者05月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(356) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

農協が大規模農業者の選別を始めてきた | 農業経営者 4月号 |  (2009/04/01)

【土門 剛 -profile

破産農家を生み出す欠陥“認定農業者制度”



講演先の富山で知人が耳打ちしてくれた、富山県の農業生産法人(有)リーフ(黒部市宇奈月町・滝林純一社長)の破産。原因を調べるうちに、認定農業者制度の欠陥と国の政策に沿った大規模生産者の限界をみた。

まずは社長の滝林さんのプロフィール。富山県稲作経営者協会の前会長にして、日本農業法人協会の会員である。世智に疎い農水省の役人には、ニッポン農業の背骨を担う立派な経営者と映るのだろうが、筆者にすれば、稲経と法人協会メンバーと聞けば、思い出すのが、法人協会最高幹部の、あの一言だ。 「稲経や法人協会のメンバーの8割は赤字スレスレだよ」

それはそれとして、本人に直接原因を確かめるべく連絡を試みるも、電話はすでに取り外されていた。黒部市役所農業水産課にチェックを入れたら、「1月29日のことですが、滝林社長がやってきて、突然、裁判所に破産の手続きをしてきたと告げるだけで、詳しい説明は聞けませんでした。どうして破産に至ったのか、こちらも分かりません」(農政係担当者)という返答が戻ってきた。

滝林さんは、認定農業者でもある。担当者に「この馬鹿者!」と怒鳴りつけてやろうと思ったが、やめてしまった。先刻承知かと思うが、認定農業者制度は、農業者が農業経営改善計画を策定し、市町村がそれを認定し、認定後も計画の実施状況をチェックする義務がある。

しかも計画が達成できないような状況であれば、市町村は、達成状況を的確に把握し、その要因を分析することで、5年ごとの認定更新に際して、新しく提出された計画に実現性があるかどうかをチェックするというようになっている。市役所がその気になれば、リーフの破産を未然に防ぐことも可能なハズだった。

怒鳴ろうと思ったのは、「ちゃんとチェックしていたら、ある日突然ということにはならなかったのではないか」と言いたかったからである。世にも不思議な「認定農業者」制度。最近は農水省でも少しは疑問を抱くようになったと聞くが、末端現場はこの程度と認識すべきである。

気を取り直して、その担当者に、「経営内容をチェックしていたのかい」と問い質すと、その答えが面白い。

「例えば、計画に、農地を○○ha増やしたとか、トラクターを○台整備したとか、それだけをちゃんとチェックしていました」

この担当者を叱責することはできない。国が市町村に認定農業者をチェックせよと命じたのは、次の4項目であるからだ。

1.経営規模の拡大(もっと経営規模を大きくしたい)
2.生産方式の合理化(農業生産のムダを省きたい)
3.経営管理の合理化(コスト管理をしっかりしたい)
4.農業従事の態様の改善(労働時間を少なくしたい)

筆者流に解説を加えれば、「経営規模の拡大」とは、面積の拡大を最優先に、施設・機械類を野放図に整備することを指し、結果として過剰投資を招き、やがて破産に追い込んでいく。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者04月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(200) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

石破発言は農協改革の覚悟あってのものか? | 農業経営者 3月号 |  (2009/03/01)

【土門 剛 -profile

混乱と尻すぼみ?石破茂農水大臣の発言



農政が急ピッチだ。

農水省改革チームがまとめた「緊急提言」に、「へぇ〜、ここまで書くのかい」とビックリしていたら、今度は石破茂大臣の「減反見直し」発言が飛び出してきた。

暮れも押し詰まった12月28日、フジテレビ系の報道番組に出演した石破茂農水大臣。減反政策について、「本当にこれでいいのかという問題意識は持っている」と述べたのである。

番組終了後には記者団にこんな解説を残している。

「農業の持続可能性が失われる原因のひとつに生産調整(減反)があるという認識を持っている」

農業の持続可能性、英語では「サステイナビリティ」を直訳した日本語表現のようだが、適当な訳語が見つからない。時に有機オタッキー系の面々が商品イメージを伝えるために口にしたり、あるいはガチガチの保護主義者が理論的拠り所のひとつとして使っているイメージが持たれがちだが、2008年フードパニックを経験して以降は、もっとリアルな意味合い持つ言葉に変質したのではなかろうか。

連作障害とは無縁で世界に誇れる水田をもっと有効利用すべきで、そうすれば、国民の悲願である食糧自給率の向上も実現できるのではないか。

減反が、そのポテンシャルを覆すようであれば、誰が見ても、これは問題である。大臣の見直し発言も、そんな素朴な発想がモチベーションになっているのではないかと思った。

ところが大臣発言。巷では混乱を招いている。そのテレビ番組でも、早とちりした司会者が、「どうですか、生産調整を止めるのですか」と畳みかけるように質問してきた。これに石破大臣は、「別に廃止を前提としてものを考えているわけではない」と釈明に大わらわだった。

そんなこともあってか、年初(1月5日)の会見で、石破大臣はこう補足説明をしてきた。

「他方において、どうしても不公平感というものが払拭されない、つまり、一生懸命生産調整をして、何とか値段というものを維持しているわけだけれども、『私は生産調整しませんよ』という人がどんどん作ったとして、それは、皆が努力をして維持をしている価格に乗って、彼らが経済的な利益を得るということであって、どうしても真面目にやった人が、俗な言い方をすれば、『正直者が馬鹿を見る』ような形というものは払拭をされないということ、更に、条件不利地域なんか特にそうなのですけれども、あちらこちらに、コメを作れない、そして農業をやる人がいない、結果として、望んだものではないが、耕作放棄地というものがでて、地域の活力というものが失われているということも、また事実だと思っております」

この大臣会見を読んでちょっと拍子抜けしてしまった。とりわけ「不公平」や「正直者が馬鹿を見る」のフレーズは、減反政策が問題になると、必ず出てくる。フリーライダーという言い回しもある。

厳密な意味でのフリーライダーは、制度も生産調整も関係ないオッパッピー生産者や集荷業者たちのことを指す。この面々は、政府が米価を下げていけば、彼らの事業基盤は早晩崩れるに違いない。品目横断的経営安定対策を本格導入すれば、制度を理解することはもちろんのこと、生産調整にも取り組まなければ、コメを集荷することもできなくなるはずだ。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者03月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(18) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

新春仮想対談・政権交代と政界再編が農業界に及ぼす影響 | 農業経営者 2月号 |  (2009/02/01)

【土門 剛 -profile
読者諸兄、新しい年をいかが迎えられたかな。今年の干支は己丑、つちのと・うしと読む。訓読みでは、「きちゅう」。「己」の原義は抑屈して起こるなり。絡み合った状態を整理して、新しい時代を進展させる働きという意味。陽明学の秦斗、安岡正篤先生は「己は紀なり」、紀律ができる年という解釈を残している。「丑」、紐でしめるというのが原義。表意からも連想できるように、手で締め付け、握ることである。社会構造に大きな変化が起き、混乱の中から新たな仕組みが誕生してくる。政界に目を向ければ、政権交代と政界再編が同時進行で起きる。その影響は農業界にも確実に及ぶ。これらを酒の肴に寿丑君と知己君に対談を願った。

知己君 年初から政権交代と政界再編で話題沸騰だな。

寿丑君 民主党に政権が移れば、自民党農政族を裏で動かしていた農協組織の「権力操縦術」にも大きな影響が出てくる。その民主党は、マニフェストを読めば、自民党の農業政策と違って、どちらかといえば、零細規模農へ配慮する方に軸足がある。当面、政策のすり合わせに大きなエネルギーを費やさなければなるまい。

知己君 別の意味で大変だね。

寿丑君 昔懐かしい言葉を使えば、農水省、自民党、農業団体の三者による「55年体制」の崩壊かな。霞が関にとっては、まさに未体験ゾーンの領域に入っていくわけだ。しかも民主党が長期政権になる可能性は少なく、いずれ政界再編という事態も十分に想定できる。政界の大津波を受けても政策が揺るぎないようにするには、自分たちの足元をしっかりと固めておく必要がある。

知己君 そんな深謀遠慮もあって農水省改革チームを立ち上げて緊急提言をまとめたのだね。

寿丑君 それもそうだが、やはり直接のきっかけは、事故米スキャンダルで大臣と次官のダブル辞任だった。石破茂大臣は、防衛オタクでもあるが、もともとは農政族。防衛省だけでなく農水省のことももよく知っている。大臣が、このままではいけないと思い、改革を決断されたのだ。石破大臣は、谷津義男や西川公也のように全農に使い走りをさせられている農政族とは違って改革を志向する政治家の一人である。米政策改革大綱を策定する際に自民党内で立役者の一人だった。

知己君 悪評さくさくの麻生政権で石破さんを農水大臣に据えたのはヒット作だったね。

寿丑君 どんな政権でも一つぐらい見所があるものだ。石破さんの長所は、物事をよく理解して、目的と目標をはっきりと定め、直線的に解決しようという政策手法かな。

知己君 それが改革チームにも反映したのか。

寿丑君 課長クラスだけで編成したのも石破さんだ。局長クラスも入れた編成だと旧弊に流されるが、若手ならその恐れがないと考えたのであろう。チームを立ち上げて2カ月弱で緊急提言をまとめたよ。

知己君 大手メディアの評価はイマイチだったね。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者02月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

省幹部に責任を自覚させることが再建の第一歩 | 農業経営者 1月号 |  (2009/01/01)

【土門 剛 -profile

情報力の強化こそ農水省再建のポイント


わずか1年で事務次官と大臣のダブル辞任に追い込まれた農水省。明治14年の設立(当時は農商務省)以来、最大のピンチに立たされている。石破茂大臣の肝いりで若手課長を中心に組織を立て直す農水省改革チーム(チーム長・針原寿朗林野庁林政部長)を立ち上げたのも、これを反映してのことだ。筆者なりに農水省再建の方途を考えてみた。
 最初のダブル辞任は2007年9月の遠藤武彦農水大臣と小林芳雄事務次官のケース。遠藤氏自らが組合長理事を務めていた「置賜農業共済組合」(山形県米沢市)が農業災害補償法に基づく掛け金115万円を国から不正受給していた問題が原因だった。遠藤氏は国会議員になっても地元の農業共済組合の組合長理事を務める典型的な農政族議員だった。
 ここで思い浮かぶのは、農水省の役人は農政族議員にからっきし弱いということだ。この問題は、当時の組合課長らが農家の名義を無断使用して水増し申請、その申請の結果として共済掛金の国庫負担分である約115万円を補助金として不正受給していたことだった。しかも不正受給をしたのは1999年。これが最初にバレたのが2004年に会計検査院が実地検査に入ったことだった。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者01月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(2) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

民主党政権が近づくほど、バラマキ農政が先祖帰りする | 農業経営者 12月号 |  (2008/12/01)

【土門 剛 -profile

地域社会の維持及び活性化は、保証できる可能性なし


民主党が農家に約束する戸別所得補償制度。自民党・杉浦正健代議士が「民主党のマニフェストは毛針」とこき下ろせば、民主党副代表の前原誠司副代表も「ばらまきだという批判があるが、私もそういう気持ちが強い」と内部からも批判の声が。

参院選の大勝後の昨年10月、参議院に「農業者戸別所得補償法案」を可決したが、衆議院はこの5月に否決した。「食料自給率の向上並びに地域社会の維持及び活性化」(法案第1条)と説明するが、どこをどうみても過去のバラマキ農政を復活させただけ。「食料自給率の向上」につながらないばかりか、「地域社会の維持及び活性化」には絶対につながらないと指摘しておきたい。

この9月には、総選挙に向けて農林水産政策大綱、別称「農山漁村6次産業化ビジョン」を公表した。次いで10月には、これを漫画にした号外ビラも出している。これで総選挙向けマニフェスト(公約)が出揃ったことになる。

のっけから失礼だが、この別称の「6次産業化」という部分を目にしてプッと吹き出してしまった。本邦農業界で農業補助金取り名人と言えば、もう名前がお分かりだろう。前月号でも取り上げたSさんのことである。そのSさんがよく口にしていたキャッチフレーズである。

6次産業とは、1次産業(生産)×2次産業(加工)×3次産業(物流・生産・販売・交流)の数字をかけ合わせたネーミングのようである。同じような施策として「農商工連携」というものがある。公式解説的には、「地域経済活性化のため、地域の基幹産業である農林水産業と商業・工業等の産業間での連携」だ。その言わんとするところは、双方、プロが条件ではなかろうか。ままごとのような零細規模農を相手にした「農商工連携」では農業の地域の再建もおぼつかない。

そのSさんには、本コラムに何回も登場していただいて恐縮だが、彼の6次産業化の取り組みは、巨額の補助金と旧農林漁業金融公庫(政策公庫)の低利融資を使っただけで、取り組まれた加工事業なり観光農園事業は決して成功したとは言えず、自給率の向上には何の効果もない。

もっと悲惨な例は、6次産業化を夢見て事業のため大借金をして自殺に追い込まれたケースだ。茨城県で軟弱野菜の生産出荷を手がけていた大規模生産者は、誰が入れ知恵したのかどうかは知る由もないが、これまた農林公庫や地元金融機関からの融資で「観光農園」に乗り出したが、ほどなく大失敗して命を絶たれた。

このケースで筆者が総括したのが、所詮、素人があれこれ手を出してみたところで、どれ一つしてプロの領域には達しないではないか。それを昔の人は「餅屋は餅屋」との表現で戒めた。民主党の農業政策を立案する担当者に、ぜひこの言葉の持つ意味をよ〜くご理解いただきたいものである。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者12月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(3) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

10月1日デビューの政策公庫 経営体質は変われるか!? | 農業経営者 11月号 |  (2008/11/01)

【土門 剛 -profile

新しい政策金融機関の誕生



明るい未来を支援する、「政策公庫」の誕生です——。平成10月1日スタートする株式会社日本政策金融公庫が配布したポスターのキャッチフレーズだ。略して政策公庫。4つの政策金融機関、つまり農林漁業金融公庫(農林公庫)が国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行が統合して誕生した新しい政策金融機関だ。特殊法人から株式会社に組織形態を変えた。株式は全額政府が所有。国がリモコンで操るのは変わりがない。

慣れ親しんだ農林漁業金融公庫は、1日本政策公庫農林水産事業本部という組織名に変わった。政策公庫で農業者向け金融がどう変わるのか。チェックしてみたい。その前に当局の公式見解を紹介しておこう。

「政策公庫の目的として、地方の銀行や信用金庫など民間の金融機関が融資しにくい分野で業務を行う『民業補完』を大原則とするよう、法律で定められています。…(中略)…農林公庫では返済期間が平均17年と超長期の資金を取り扱うなど、民間金融機関では対応しにくい分野で業務を行っており、政策公庫はこれらの業務を引き継ぎます」(政策公庫のウエブサイトから)。

「民間の金融機関が融資しにくい分野で業務を行う」。「民業補完」というポジションに甘んじるという意味である。旧公庫時代の基本ポリシーを引き継いだが、筆者的には、何も控え目ポジションに満足することはない。ライバルの金融機関が腰を抜かすぐらいの超低金利商品を大胆に提供してほしい。そうすれば、地方銀行や信用金庫などが金利を引き下げて農業者に多大なるメリットを与えると確信している。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者11月号で
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時流 | 土門「辛」聞

豊作予想も「やがて米価は高騰する」シナリオに変化なし | 農業経営者 10月号 |  (2008/10/01)

【土門 剛 -profile
コメ市況調査会社、米穀データバンク(東京)による08年産水稲の収穫予想が8月6日に出た。全国平均ではやや良の「102」(7月31日現在)だった。これを踏まえて20年産米の価格予想を試みたい。

その前にお詫びを一つ。この秋にも20年産米が高騰するとの予想が大外れになったことである。気象予報を過信したことによる大ヘマだった。執筆した6月中旬の気象は、東北や北海道の主産地で例年より気温が低かった。知人のプロ生産者も「ひょっとしたら冷夏かも」と言っていた。7月中旬、宮城県北部を訪れた時も、冷たく湿ったやませが吹く日もあったりして、ますます冷夏説に傾いてしまったのである。

海水温もウォッチしていた。気象庁のサイトで毎日のように日本沿岸の海水温をチェックしていた。目安は20℃の海水だ。例年なら宮城・金華山沖にあるのに、その頃は千葉の銚子沖にまで下がっていた。そんなことから、偏西風の蛇行による「西暑北冷」タイプの異常気象ではないかと勝手に素人判断していたのである。

7月下旬になって北海道や東北の気温がぐんぐん上昇した。これで生育の遅れを一気に取り戻したのである。願っているわけでもないが台風の襲来もない。スーパーコンピューターを駆使した気象庁の天気予報でさえ外れが目立つのに、経験や勘に頼る素人の天気予報が当たるわけがない。ましてやこの異常気象である。読者諸兄には、反省とお詫びを込めて「生兵法は怪我のもと」と総括させてもらおう。

コメ消費回帰で単年ベースで需給均衡か


参考に20年産米の需給状況を整理してみよう。

農水省が19年産から導入した「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」。略称、基本指針と呼んでいる。例年7月30日に公表され、その後、需給状況に大きな変化があれば、11月と翌年3月に変更することができる。自称「オッパッピー」系の読者諸兄は、そんなデータなど「興味も関心もねぇ〜」かもしれない。かく申す筆者もその一人。本稿執筆に際し、その基本指針に目を通したが、米価をあれこれ推測するうえで絶対に外せない資料には違いない。そのデータを参考にマーケットのデータなどを加味すれば、予想としては鬼に金棒になる。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者10月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

全中と県の農協監査体制では不正行為は絶対に防げない | 農業経営者 9月号 |  (2008/09/01)

【土門 剛 -profile
夏も始まりの頃になると、農協の総代会資料が各地の仲間から届く。3月期決算の報告が内容だ。 その中で目を引いたのは友人のSさんが送ってきた熊本・鹿本農協の総代会資料。彼はここの熱心な組合員だ。この農協のことは以前、ハウスのリース事業を展開して、多くの農家を経営破綻に追い込んだと、このコラムでもレポートしたことがある。最近は、それが原因で農家を相手に借金取り立て訴訟を連発。地元では何かと話題に事欠かない、その筋ではつとに有名な農協である。

まず総代会資料をご覧いただきたい。そんな農協でも、そこそこ利益を出していて経営上、何の問題もないように見える。それどころか自己資本比率の数字を見れば、三菱東京UFJ銀行も足元に及ばないような「超優良」の折り紙がつく立派な金融機関にも見えてくる。

資料に目を通して、思わず疑ったのは、「単体自己資本比率」が異常に高い数字であることだ。この数字は、金融機関の健全性を判断する上で重要な指標。少し聞き慣れない専門用語だが、ざっくりと言えば、従来の「自己資本比率」のことで、平成18年度からこのような名称になった。「単体」という表現を使い始めたが、これは「連結」に対する用語と思えばよい。つまり農協「単体」の自己資本比率ということと理解していただきたい。(以下つづく)
※記事全文は農業経営者09月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

作況指数の裏側から読み取る米価高騰のシナリオ | 農業経営者 8月号 |  (2008/08/01)

【土門 剛 -profile

実態を反映していない作況指数



2年後に起きると予測した「米価高騰のシナリオ」。20年産の不作ムードが早くも漂う中で大きく軌道修正する必要が出てきた。米価高騰は2年待たずしてこの出来秋に起きることはほぼ確実。今月号は米価予測の重要な判断材料となる作況指数を取り上げてみた。

記事を書くきっかけは、連休直前に、東北地方の肥料商兼集荷商Aさんがかけてきた一本の電話だった。

「19年産は穫れてなかったよ。作況指数99という数字は間違いだと思うな。関西方面の業者は作況数字より10%ぐらい実際の生産量は少なかったのではないかと言っていた。農水省はまたインチキの作況指数を公表しているのではないかい」

連休直前といえば、コメの相場があれよあれよいう間に急騰、新潟コシヒカリが2万円(60kg、玄米)直前に跳ね上がった。昨年秋の緊急対策が功を奏したのか、それとも別の要因なのか、誰もが首を傾げた。

Aさんの「またインチキ」の表現——。農水省はカチンとくるかもしれないが、昔から農水省の統計は正確さには疑問符がつきまとっていた。筆者もはるか昔に、「担当者が鉛筆なめなめで実態を反映していない」と書いたこともある。平成の大凶作(93年)の時にも、作況指数が実態を反映していないことは各方面から厳しく指摘されていた。

電話の主は、春先からの急騰をみて、農水省公表の作況指数の数字がそもそも違っていると疑問を呈してきたのである。

「緊急対策だけで相場がここまで上がらないはずだ。需要が急に伸びたわけでもないし、分母となる生産量が少なかったとしか考えられない」(以下つづく)
※記事全文は農業経営者08月号で
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時流 | 土門「辛」聞

知事の食味批判発言で火を噴いた新潟コシBL問題 | 農業経営者 6月号 |  (2008/06/01)

【土門 剛 -profile

従来コシでしか王者復活の道はなし



コメの王者、新潟コシヒカリ。3年前に「コシヒカリBL」(コシBL)なる品種に一斉切り替えしたことはご存知の通り。当初から食味の悪さを指摘してきたが、なんと新潟県の泉田裕彦知事までもが同じことを言い始めてきた。

「従来コシとBLの違いが分かるんです、味」

これにカチンときたのが、コシBL一斉更新を強行した新潟県農林水産部と農協組織。特に前者はコシBL一斉更新強行による失敗の責任追及を恐れ、メディアを通じて知事批判をおっぱじめるなど大醜態をさらけ出している。

発言が飛び出たのは、昨年5月22日に魚沼コシの本拠地、六日町で開かれたタウンミーティング。会場には地域住民が170人も参加。この日のタイトルは「地域の魅力を創る」。パネルディスカッションのパネラーは観光関係の専門家ばかり。農業問題がテーマではなかった。

パネルディスカッションが終わりかけ、議事進行役の県職員が会場の一般参加者に質問を促したところ、塩沢町の生産者・笛木守さんがスクッと立ち上がった。

笛木さんは、有機米や減農薬米などを栽培して直接消費者に販売する「いなほ新潟」の代表者。3年前の一斉更新時から現場を無視した県や農協のやり方に不満を募らせていた。この日は日頃から抱き続けてきたコシBLへの不満なり疑問を直接知事にぶつけられると思いやってきた。

「17年から県はコシヒカリBLを一斉導入した。それで従来コシヒカリをカットしてしまっている。

だけども私たち実際に(従来コシを)栽培し、また消費者の方々とコミュニケーションをとる中で、本当にやっぱり従来コシをくれという要望が非常に強いわけでして、決して私はBLそのものがだめだと思っていませんけれども、せめて生産者がBLか従来コシかを選択できる、その余地を作っていただきたい。今、我々が種もみを用意する場合には、長野県とか、富山県とか、福井からわざわざ取り寄せなければいけない。そこを何とか新潟県でも供給していただきたいというふうにお願いしたい」

温厚な性格の笛木さんらしい、抑制の効いた質問ぶりだった。食味にも触れなかった。それなのに泉田知事は予想外の答弁で応じたのだ。 (以下つづく)
※記事全文は農業経営者06月号で
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時流 | 土門「辛」聞

国の方針を嘲笑うかのように増反に走るコメ主産地レポート | 農業経営者 5月号 |  (2008/05/01)

【土門 剛 -profile
よほどのハプニングでも起きない限り、解散総選挙は来年に遠のいたと見るべきだろう。そうだとしたら20年産米価も見えてくる。もし20年産も過剰となれば米価暴落は避けられない。そうなれば選挙を強く意識した政府が、今シーズンも緊急対策「第2弾」なるものを放ち米価を吊り上げようとしてくるだろう。これに対しマーケットは「対策の年に買いなし」とばかりに買い控えで応戦。さらなる米価下落、政府米買い入れ、減反強化という「負のスパイラル」が再び頭をもたげてくる。

今シーズン最大の見所は40年近く続いた現行減反政策の行方である。20年産も過剰となった場合、政府与党が500億円も投じた減反緊急対策は大失敗だったことが証明される。世論の厳しい批判は避けられない。当然、現行減反政策に代わる新たな生産調整方式も検討課題として急浮上し、コメ行政の総決算にも等しいシンボリックな出来事になる。一問一答形式で説明しよう。

見せられた衛星写真に「参った!」の声



質問 コメ行政の総決算という意味をもう少し詳しく説明して下さい。

土門 「売る自由」は新食糧法(94年)とその大幅改正(04年)で完全に実現した。ところが「作る自由」は70年代からの減反制度を引きずったままである。車に喩えれば、右足でアクセルを踏みながら、左足でブレーキをかけているような状態になっている。これでは走行していてもスピンするだけである。米政策改革大綱は、スムーズな走行を実現するため「作る自由」の実現を約束していたのである。それも「22年産から」というロードマップ(工程表)も用意していた(以下つづく)
※記事全文は農業経営者05月号で
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時流 | 土門「辛」聞

減反破綻の象徴的舞台となるか大潟村 | 農業経営者 4月号 |  (2008/04/01)

【土門 剛 -profile

米価暴落で見えてきた勝ち組・負け組



2月中旬、3年ぶりに大潟村へ入った。米価暴落で村全体が意気消沈していることは、この村に住む知人の便りでだいたいわかっていた。バブル米価の折には村の元気組、自由作付け派の集まりといえば、車で20分ほどの男鹿温泉の温泉旅館というのが定番コース。そんな光景も、今では昔の思い出話の一つになってしまった。

以前から、この村の農業は良くも悪くも「15ha問題」と指摘してきた。大潟村が誕生した40年前には、日本のコメ作りのモデル農村と称されたことがあった。それが今、この面積で経営を成り立たせることが至難の技になってきた。さりとて村の特殊な農地事情から面積を増やすことはできない。この村で減反協力者が増えたのは、こうした事情があるからだ。

2万円米価時代には、この面積が威力を発揮した。減反非協力の「自主作付け派」で所得ベースで年収1500万円というのはザラにあった。フル作付けした場合、反収9俵として1350俵の収穫になる。これに2万円をかければ、玄米で販売したとしても収入は2700万円になる。これに農地取得のための借金の元利(第5次入植なら年間450万円)を払っても1500万円近い所得が残る計算だ。(以下つづく)
※記事全文は農業経営者04月号で
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時流 | 土門「辛」聞

農水省の焦りで見えてきた減反終焉の日 | 農業経営者 3月号 |  (2008/03/01)

【土門 剛 -profile
「生産調整目標達成のための合意書」。こんな文書が御用納めの前日(12月27日)に開かれた全国水田農業推進協議会の場で取り交わされた。相当事情通の本誌読者でも「エッ、その合意書って何なの」と疑問に思われるに違いない。全国水田農業推進協議会。これまた「それって何の組織」と疑問を抱かれるだろう。農水省が急ぎ作った、別名「減反推進協議会」のことである。都道府県や市町村ごとに設置されている「水田農業推進協議会」の全国版という位置づけである。構成メンバーや合意書の内容(38ページ掲載)を見れば、いかに泥縄的かがわかる。農水省の焦りもストレートに伝わってくる。

減反問題は、売れない者が対応すれば、簡単に解決するのである。売る力がないのにもかかわらず、コメを作ったり、コメを集荷したりする者がいるから、問題が一向に解決しない。つまり、減反の大半は農協組織固有の問題と言い切れる。商人系業者は、売れないコメは絶対に買わない。そんなことをしたら、在庫を抱えて会社を潰してしまうのだ。この基本原則を貫けば減反問題は解決するというのが筆者の見解である。

ところがJA全中とJA全農に、もはや農協組織に減反問題を解決できる力はない。あまりにも多くの構造的矛盾を抱えているからだ。その最たるものが、信用・共済と経済事業の「総合農協」体制。地方経済よし、米価よしの時代はよかった。減反で少々無理なことを言っても「ま、仕方がないか」と農家も協力してくれた。それが逆モードになれば、減反の協力を要請すれば、農家に反発され、結果として組織の力を弱めることになる。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

土門剛 新年大予想 農業界大動乱の最終幕に政治の介入も米改革は マーケット原理で粛々と進む | 農業経営者 2月号 |  (2008/02/01)

【土門 剛 -profile
明けましておめでとうございます。いよいよ農業界大動乱の最終幕に突入だ! 新年に相応しく、パッと明るい大胆予測をお届けしよう。

そんなの関係ねえ!!オッパッピーだ!



司会 「混迷深めるニッポン農業をスパッと切っていただいて、新年らしくパッと明るい大胆予想をご披露願えますか。最近は農業界大動乱の最終幕が切って落とされたと本コラムにも書かれていましたね」

土門 「農水省は02年に米政策改革大綱を打ち出した。市場ニーズに合わせて売れる米づくりや集荷・流通、効率的かつ安定的な農業経営の確立を10年をメドに実現するというのが内容だ。参院選後の米価下落対策はこれに逆行するものだが、所詮は次の総選挙までの場当たり的なものと思えばよい。結局は、牛に引かれて善光寺参りではないが、マーケットの導くところに落ち着いていくのだ。ただ減反問題だけは便所蝿のように生産者にうるさくつきまとうかもしれない。ここは小島よしおのように軽くあしらっておくことだ」

司会 「いきなり、小島よしおですか」

土門 「行政や農協が減反をしつこく迫ってきたら、減反は、コメが売れない農協さんのことでしょう、そんなの関係ねえ~、オッパッピー!と叫んでやることだ。パンツ一丁になってやれば、相手は絶対にやってこないよ」

司会 「自民党のセンセー方は減反強化で相当息巻いてますね」

土門 「どんだけぇー」 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

「みずほの国・防人」って一体どこの、誰のこと!? | 農業経営者 1月号 |  (2008/01/01)

【土門 剛 -profile

米緊急対策は現場ご用聞き農政の賜物か?



この秋、農水省は幹部職員を地方に派遣した。「地域づくりや生産現場の悩み・問題点を聞いて、その中に含まれる積極的な提言を受け止め施策に反映させる」(東北農政局)のが目的だそうだ。

名付けて「みずほの国・防人応援隊」。なかなかしゃれたネーミングだ。霞が関官僚の類い希なる造語能力には以前から敬意を払ってきた。その能力を政策にもっと活かせてくれたらと言えば、失礼になるだろうか。

それはそれとして「みずほの国・防人応援隊」が、ニッポン農業の現状など把握できるわけがない。行革対象筆頭格の地方農政局が、自分たちの存在のアピールするのはこの時とばかりに、日頃かねて用意の安全牌ならぬ農政局御用達の農家代表を集めて話を聞いても、農業現場の実態など理解できるわけがない。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

米価大暴落がもたらす
農業周辺業界への影響とは | 農業経営者 12月号 |  (2007/12/01)

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経営努力に欠けた農業資材業界の行く末やいかに?



農業資材業界を横目で眺めてきて30年近く経つが、最近、つくづくこの業界はダメだなと思うことがある。メーカーも、商社も、卸も、小売も、今、目の前で起きていることの構造的な意味がまるで理解できていないことだ。正確に表現すると、理解できないのである。理解できていないからこそ、次の手が何も打てないことになり、ただ状況に流されるに任せるというお粗末な状態が続いている。

こうした状況をよく喩えるのが、みんなぬるま湯の風呂につかっていて風呂桶から出ようとしない様のようである。外はぴゅーぴゅーと冷たい風が吹き荒れている。外へ出てしまえば体力がないから一気に肺炎になってしまう。それならぬるま湯の中でじっと我慢の大五郎を決め込むしかないとでも思っているのであろうか。そうやっていても、みんな肺炎に罹ってしまうだけである。

農業資材は、商人系の場合、通常、メーカー、商社、卸、小売というラインで流れていく。これが系統になると、メーカー、全農、県本部、農協と流れていく。これらはベーシック・パターンで、中にはメーカーから卸へ直売する場合もあれば、小売、あるいは生産者へ直売する形もある。卸から小売をすっ飛ばして小売へ直売することもある。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

もはや予算も対策もなし。
あるのは米政策改革大綱のみ | 農業経営者 11月号 |  (2007/11/01)

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米価低落の「対策」?アンケート調査の無意味さ



農水省食糧部計画課が、日本農業法人協会を通じて「18年産米に係る実態調査」と題したアンケート調査を実施したのは、絆創膏大臣で大騒動していた真夏のことだった。笑ってしまうのは、日本農業法人協会が会員にアンケート用紙を送った際に添付した依頼文書の頓珍漢ぶりである。

「米販売価格の低落は、農業経営に深刻な影響を与えております。与党自由民主党における先の参議院選挙の総括論議の中で、特に農村票の減少については、米価の低落を挙げる声も多く、それに対する対策を政府に求める声も高まっております。品目横断的経営安定対策の成否も米価が及ぼす影響が無視できない等の見方も漸く政府内に生じております」

米価低落の対策って、何があるのだろうか。頭を冷やしてよ~く考えてみるべきだ。米政策改革大綱には、そんなことは一行も書いていない。あるとすれば減反ぐらいだ。それも売れない者が減反に協力し、売れる者にコメを目一杯作ってもらいたいと書いてある。 (以下つづく)
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7000円の衝撃!
終わりを告げた、全農主導の減反政策 | 農業経営者10月号 |  (2007/10/01)

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農協に対する掌握能力の喪失を宣言した全農



農協の内金水準7000円。7月31日、全農が各県本部の米穀部長を本部(東京・大手町)に呼び、19年産米の集荷については全国統一した「内金+追加払い方式(魚沼コシを除く)」を通達したニュースは、コメ地帯で激震をもたらしたようだ。

全農を頂点としたコメ流通は、委託販売方式と呼ばれ、普通の商慣行からすれば少々イレギュラーな取引方式なのだ。なぜイレギュラーか、それを説明するには反対概念となる買い取り方式を先に説明した方がわかりいいかもしれない。買い取り方式といったら、またまたチンプンカンプンかもしれないが、これは我々が普通に親しんでいる売買方式と思っていただきたい。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

お坊ちゃま大臣騒動の裏で、
辣腕食糧部長が就任の農水省 | 農業経営者9月号 |  (2007/09/01)

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セレブな農水大臣はカーマニアで女装趣味?



祖父・宗徳氏がご存命だったら、「おい、徳彦、何やってんだ。赤城家の恥だ。もう大臣なんか辞めてしまえ」と一喝されたに違いないのが、ホッペとおでこに絆創膏をぺたんと貼ってテレビの前でタップリと恥を晒してしまった赤城徳彦農水相ではなかろうか。ここは親しみを込めてバンソーコー大臣と呼びたいが、ここは徳彦にちなんで、ノリピー大臣と呼ばせてもらおう。

ノリピー大臣、すでにご案内のように、農水大臣や防衛庁長官を務めた故赤城宗徳氏の孫にあたる世襲議員だ。農水大臣に就いた経緯はあらためて説明の必要はあるまい。それこそ前者の轍を踏まぬよう、今度は十分に人選に注意したはずだが、この様となってしまったのである。お粗末は、ご本人というよりも、このような無様を作り出した任命権者の総理大臣にあり、おそらく本誌が読者のお手元に届く頃には、その無様が参院選の大敗北という形で総括されているであろう。(以下つづく)
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マッカーサー恩賜の『俄地主ども』 | 農業経営者8月号 |  (2007/08/01)

【土門 剛 -profile
その昔、「存在の耐えられない軽さ」という映画があった。出来損ないの恋愛映画で、変にタイトルだけが今も耳にこびりついていたが、5月9日、内閣の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)のグローバル化改革専門調査会EPA・農業ワーキンググループ第一次報告「EPA交渉の加速、農業改革の強化」の議事録を読んでみて、思わずこのタイトルを思い浮かべてしまった。「存在の耐えられない軽さ」、肝心な農業政策でお呼びでない農水省のことである。

経済財政諮問会議。少々説明が要るだろう。森内閣時代の2001年1月、中央省庁再編とともに設置され、内閣総理大臣の諮問を受けて、経済財政政策に関する重要事項について調査審議する役割を担った。(以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

“攻めの農政”松岡利勝農水大臣に「贈る言葉」 | 農業経営者7月号 |  (2007/07/01)

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意外!? 農水官僚の評価は「合格点」



松岡利勝農水相、本コラムでは敬意を表して、大センセーと呼ぶ習わしとなっている。7月の参院選が近づくにつれ、還元水問題を抱えた大センセーが、いつクビになるのか、永田町の関心を集めるようだが、その大センセーにムチを打つように、安倍晋三首相のご意見番的存在の森喜朗元首相がこう言っていた。5月14日付け日経新聞の「あの人ぐらい農業がよく分かっている人はいない。

安倍さんは農業に活力を与える意味で期待したんだけどね。『応援に来てもらわなくてもいい』というのであればつらい。自発的にあれすべきですよ。党に迷惑をかけると思ったらね」という趣旨の記事だ。森元首相の「あれ」なる意味は、「あんな奴を大臣にして、えらい目に遭った。早く辞めてくれんかな」ということで、体のよい辞職勧告なのである。大センセー、政府与党の中でも四面楚歌におかれ、最近は人間が生まれ変わったかのように穏やかになったという噂が耳に入ってくる。やはり大センセーでも試練が人間の鍛えるのであろうか。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

生産者の淘汰選別の契機となる、平成の米価大暴落 | 農業経営者6月号 | (2007/06/01)

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実効性乏しき「需給調整」文書



総合食料局計画課が3月27日の食糧部会で公表した「需給調整の実効性確保に向けた重点推進」なる文書。これはどうみても事実上の米政策破綻宣言としか思えない。とくに「18年産の大幅な過剰作付けの状況が19年産も継続すれば」との記述は、過去の減反政策が失敗であったことを、政策当局自らが半ば認めたようなものではないか。

笑ってしまうのは、文書公表のタイミング。3月下旬といえば、農家が天真爛漫に作付け準備を始めている頃だ。主産地の北東北や北海道でも種もみの手当がすっかり終わり播種の準備が始まろうとしている頃でもある。そんな時期に、減反を呼びかける文書を出して何の意味があるというのだろうか。こう指摘すれば、文書作成は「2月だった」、いや「都道府県には同じ文書を1月に配布していた」などの弁解が計画課諸侯から聞こえてきそうだが、ここで問題なのは、文書が現場に伝わる時期に公表されたかということであり、文書を何回も出しても減反の実効がまるで上がっていないことである。

文書の発出方法も問題だ。農水省、全中、全集連の3者連名での文書発出となっている。実際の文書作成は計画課だろう。こう指摘すれば、計画課諸侯はあれこれと弁解してくるだろうが、生産調整は米政策改革大綱で20年度までに「農業者・農業者団体が主役となるシステム」を構築すると高らかに宣言、行政は生産調整事務から後方に退くと国民に約束したはずではなかったか。それなのに計画課諸侯は大綱の本旨に背くようなことを早くもやっている。(以下つづく)
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松岡大臣の思いつき出動要請にも、スシ・ポリス出動せず | 農業経営者5月号 | (2007/05/01)

【土門 剛 -profile
国内外から「スシ・ポリス」と悪評サクサクだった農水省の「海外の日本食レストランへの認証制度」が土壇場でポシャってしまった。新聞各紙は、2007年度から始める予定だった「正しい日本食」を判断する統一の基準を設けず、政府が「お墨付き」を与える形もやめて、判断を民間組織に委ねると報じている。

いま、海外ではスシ店など日本食が大ブレーク中で、そのブームに便乗して、ひどい食事を出す店があまりにも多く、農水省が食材や日本的サービスの条件を満たす店だけに認証マークを与え、インチキ日本食店を駆逐しようという目的で取り入れようとした。そんなところから海外メディアを中心に「スシ・ポリス」と酷評されていた。

そもそもの話は、いまや「還元水」の動く広告塔になった松岡利勝農水相の鶴の一声。農水相就任前に、出張先の米国コロラド州で立ち寄った日本食レストランで、寿司と韓国風焼肉が一緒に掲載されているメニューを見て、「こんなことは考えられない。これは日本食レストランではない」と大憤慨したのが事の起こりで、就任するや否や、「スシ・ポリス」設置に動き出したのだ。1本5000円もする高価な還元水を愛飲されているだけに、大臣は下々のことをご存知ないらしい。コロラドなら州都デンバーでも、日本食料理店はだいたいこの程度で最高レベルなのである。(以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

日本ライスファーマーズの会で土門剛が大胆予言! | 農業経営者4月号 | (2007/04/01)

【土門 剛 -profile
プロ生産者だけで「日本ライスファーマーズの会」を結成したのが5年前のことでした。毎年、テーマを掲げ研修会を開いておりましたが、今年は19年産より生産調整が大きく変わる中で、「米改革元年」と称して、「コメはドーなっていくの、それにはドーしたらよいのか」をテーマに一献傾けながら徹底討議する場を設けました。1月24日、福島県磐梯熱海温泉でのことでした。

会費は宿泊費込みで3万円。決して安くはない参加費でしたのに、さほど呼びかけもしませんでしたが、どこで聞きつけたか各地から100人を超す生産者や流通業者が集まってきてくれました。参加者の内訳は東北や北陸各地の生産者90人。産地集荷業者10人、米販売業者10人、肥料や農薬など資材業者10人。参加者の一人で本誌読者でもある某農薬卸社長は、生産者の面々を見やりながら、「このコラムで、米価暴落を『始まりの始まり』と書いておられたが、その『始まり』のドアを開くのは、この人たちですな」と、感想を漏らしておられました。

米穀専門誌の某記者も、「3万円もの会費にもかかわらず、集まってくる生産者がこんなもいるとはね」と驚かれておられました。
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時流 | 土門「辛」聞

唖然!新潟コシばかりが政府買入れされる裏事情 | 農業経営者3月号 | (2007/03/01)

【土門 剛 -profile
政府買入れ入札を巡る農水省VS全農の無責任ぶりを、米穀業界の専門紙「ライス・ビジネス」1月1日号が「疑惑の政府買入入札」の見出しで「特定産地に多大利益」「新政策と大きく矛盾」と指摘した。

これぞまさにイカサマ!18年産米買い入れルール

「歪んだ政府買入れが行なわれている。本来なら政府買入れする必要のない新潟コシヒカリが大量に買入される一方で、新潟と生産量がほとんど同等の北海道からは一俵も買入れされない。これは銘柄別需要や流通実績などの理論的裏付けとはほとんど関係ない、農水省と全農の『政治的』談合による産物と見られる。(中略)他の産地の多くが不落となる中で、何故新潟コシだけが全量落札なのか。これは全農の全国政策と大きく関係があるようだ。公正であるべき政府買入れは、全農の全国政策に大きく影響されている」 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

2007年産の作柄で決まる大激変のタイミング | 農業経営者 新年合併号 | (2007/01/01)

【土門 剛 -profile
謹んで新年のご挨拶を申し上げる。土門辛聞、今年もご愛読を賜りたい。

年末に農水省統計部が公表した統計が興味深い。2005年個別経営の営農類型別経営統計だ。

「2005年水田作経営(全国)1戸当たり農業粗収益は、コメ価格の 低迷から単位面積当たりの稲作収入は減少したものの、1戸当たり稲作作付面積が面積の集約から増加したことなどに伴う稲作収入の増加から、186万円で前年に比べて5.2%増加した。一方、農業経営費は、面積増加等伴う資材の使用量増加に加えて、原油価格の高騰よる光熱動力費等の増加から144万円で4.4%増加し、この結果、農業所得は42万円となり8.2%増加した」

この統計で注目すべきは、行政や農協が減反を呼びかける中で作付け面積が増えたことである。同部作成の作物統計とクロス・チェックをかけてみよう。水田の作付け面積は、2003年に底を打った後増加に転じている。対前年比での増加分は、2004年で3万6000ha、2005年5000haだった。コメ農家の農業所得も2004年の39万2000円から42万4000円に増えた。前年対比では8.2%のアップとなる。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

玉砕覚悟か!? 集落営農をストップできない農水省の悲劇 | 農業経営者 12月号 | (2006/12/01)

【土門 剛 -profile
画竜点睛を欠くというか、先月号の当コラムでミスをやらかした。38ページ、上から3段目、右から4行目。ひとめぼれの価格について、「昨年産の仮渡金は1万1800円。今年産は1万3000円」と書いたが、正しくは「昨年産の仮渡金は1万1800円。今年産の概算金は1万1300円」。昨年産まで「仮渡金」と呼んでいたものが、今年産から「概算金」という呼び方になり、それが昨年産より500円落ちの価格となったのである。概算金について農協の営農座談会で「ほぼ最終精算価格」という説明がされている。

昨年産の最終精算はこの年末にある。この9月には稲作所得基盤確保対策(稲得)の補填金が出た。1100円だった。410円の拠出分を差し引くと690円。1俵1万2490円になる。最終精算はこの分にプラスアルファがある。実際には農家の手元に「500円玉か100円玉が1枚チャリンと渡るだけ」(組合員農家)という。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

「配当」は「疑似餌」。試算表にみる集落営農の矛盾 | 農業経営者 11月号 | (2006/11/01)

【土門 剛 -profile
前号でも触れたNHKの集落営農の特集番組は10月6日に放映された。タイトルは「どうなる どうする 農業と食の未来」。集落営農の是非をテーマにレポートしていたが、集落営農の矛盾点をストレートに伝える好番組だった。番組の主役は、ゲストに呼ばれた東北農政局の山根祥生局長。局長サンの発言や表情を追っているだけでも集落営農の実態がよくつかめた。

さて主役の山根局長サン。この日は、東京・銀座の英国屋仕立てかと思わせるような高級スーツ(ひょっとしてAOKIかも)にネクタイと同系色のポケットチーフでパシッときめておられた。番組は、司会役のアナウンサーが山根局長サンへ集落営農の是非を問う質問から始まった。山根局長サン、呼吸を整えてまずは農水省としての公式見解をご披露。 (以下つづく)
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時流 | 土門「辛」聞

行政の過剰介入がもたらす大規模生産者の連続倒産 | 農業経営者 10月号 | (2006/10/01)

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夏枯れも 集落営農 大助かり



9月から品目横断的経営安定対策や集落営農へ加入の受付が始まった。そのためか、夏休み期間中も講演の口がいくつかかかった。農水省経営政策課には、日ごろ、悪態の数々で迷惑をかけていることも忘れて、思わず三拝九拝してしまいそうな気分になってしまった。

夏の講演行脚の仕上げは、8月25日夕方、山形県長井市でアマチュアフォークソンググループ「影法師」(代表・遠藤孝太郎さん)が主催した集落営農勉強会だった。米沢に住む畏友Iさんの話では、東北ではよく知られた存在で、コメ作りをしながら音楽活動をしておられる。

事前の打ち合わせが初対面だった遠藤さんは、ジーパンがよく似合うミュージシャン風だった。「コンサートを開くノリで集落営農の集まりを企画してみたが、集落営農のような地味なテーマで、参加費を1000円もとって、農家の方がどれぐらい来てくれるかな」、「最低でも30人も来てくれればね」と超弱気な表情を見せていた。講演が始まってすぐにその杞憂は吹き飛んだ。80脚ほどの椅子を準備していた会場(長井市生涯学習プラザ)は、講演が始まって30分も経過すると、満員状態。急遽、40脚の椅子を準備したが、それでも足りず立ち見が出てしまった。ざっと会場を見渡せば、130人ほど。仕事を終えた兼業農家のサラリーマンや家庭の主婦もかなりいた。 (以下つづく)
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農家の“間引き”始まる。誰が消え、誰が残るのか。ズバリ明かそう | 農業経営者 9月号 | (2006/09/01)

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いよいよ農業界は壮大なる「間引き」作業がスタートする。生産者も、農協も、資材業者も、農業界に巣くう農業関係者も、あらゆる分野で例外なく間引きは繰り広げられることになる。間引きの対象となる条件は何か。「生き残り」条件は何か。考えてみたい。

ちょうど1年前、北海道で農業者の集まりに呼ばれた。主宰者は、道内の元気印の生産者を束ねていた道内ではちと名の知られた農業関係者のTさん。真冬でも半シャツにジーンズの超元気おやじだ。

その日の講演会には、筆者も顔なじみの農水省OBで民主党代議士のSさんも呼ばれていた。もちろん主宰者や生産者のお目当ては、Sさん。講演会では真打ち。筆者は前座役で、Sさんを盛り上げる役割だった。ところがSさんは突然の郵政解散のあおりを喰ってドタキャン。結局、前座が真打ちまで務めることになった。(以下つづく)
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「役人主導型農政から脱却せよ」 | 農業経営者 8月号 | (2006/08/01)

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「集落営農マンセー」、「コシBLマンセー」。前者は農水省経営局、後者は新潟県が命運をかけて取り組んでいる政策課題だが、本コラム欄で指摘の通り、いずれも大失敗に終わりつつある。

失敗の本質風に総括すれば、国や地方の役人がしゃしゃり出てきて、「これ作るな、あれ作れ」などとお節介した挙げ句に、集落営農推進では農家の協力は得られず、新潟コシBL導入では米価は大暴落という大破綻を招いてしまったのである。困ったことに、失敗を目の当たりにしてもお気楽な役人どもは絶対に「失敗」とは認めない。この両者に相通じるのは、「民間でできることは民間で」という経済社会の基本ルールをまるで理解できていないことではなかろうか。(以下つづく)
※記事全文は農業経営者08月号で
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「集落営農フォー!」と叫ぶキャリア官僚氏の憂鬱 | 農業経営者 7月号 | (2006/07/01)

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集落営農推進の大本営は農水省経営局経営政策課だ。省を挙げての最重要課題だけに省内の俊才を集めた。集落営農推進に取り組む俊才たちも、内心、集落営農が「担い手確保」に役立つ政策とは思っていない。それを口にしてしまえば「配所の月」(左遷のこと)を覚悟しなければならなくなる。硬骨漢がいて「こんなアホな政策、俺はやってられん」と上司に叩きつける手もあるが、このご時世、そんなことをすれば、ハローワーク通いか「ガテン」に目を通しての職探しという運命が待ち構えている。これが故に俊才で鳴るキャリア官僚氏も、ピエロ役を演じなければならないのである。大いなる悲劇は、これがベストな政策と思い込んで、レイザーラモンHGのように「集落営農フォー!」と叫んでいるホントの「お馬鹿さん」もいることだ。(以下つづく)
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議論の足りないポジティブリスト制度 隣は何を撒く人ぞ | 農業経営者 6月号 | (2006/06/01)

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5月29日は「ポジティブリスト記念日」!!



俵万智さんのサラダ記念日風にいえば、「この日が施行日」と厚生労働省と農水省が言ったから5月29日はポジティブリスト記念日となるのか。(以下つづく) 戯れ詩はともかく、ポジティブリスト制度は、ニッポン農業を根底から覆しかねないぐらいのインパクトを持っている。どこをどうみても厳しすぎる残留農薬基準値は、ニッポン農業の実情を無視した数字と言えないだろうか。あまりにもハードルが高すぎて、アルファベットで書かれた農薬の名前も読めない農家は、「農業やーめた」と言い出すかもしれない。あるいは逆に高いハードルをチャンスとばかりに産地間競争を勝ち抜く生産者も出てくるだろう。(以下つづく)
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「コシBL」驚愕の入札結果 マーケットが向ける厳しい目 | 農業経営者 5月号 | (2006/05/01)

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コシBLインパクト!!ゼロに近い「新潟コシ」の入札倍率



やっぱりというか、2005年産から新品種「コシヒカリBL」に一斉更新した新潟コシヒカリに「大異変」が起きている。7全国米穀取引・価格形成センター第10回(3月22日、23日)と第11回(4月20日、21日)入札で、新潟コシ一般に対する買い手の申込倍率がそれぞれ0.1しか付かなかった。売り手の販売数量に対し、申し込み数量がどれほどあるかを示す数字だ。これを反映して落札率も惨憺たる結果となった。(以下つづく)
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『雪だるまパンフ』の向こうに『借金だるま』が見える | 農業経営者 4月号 | (2006/04/01)

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行政・農協の努力空しい 閑古鳥無く集落座談会の冬景色



農水省がキャラバン隊まで繰り出した「品目横断的経営安定対策(直接支払い)」と「集落営農組織」PRキャンペーン「冬の陣」。お役人の懸命なる努力にもかかわらず、肝心の農家の反応はすこぶる低調だ。聞こえてくるのは、閑古鳥が鳴く集落座談会の光景のことばかり。行政と農協の関係者数人に、農家が数えるほどというシーンも珍しくはない。集落の2割の農家も集まれば、行政と農協が安堵するという集落営農列島冬景色なのである。(以下つづく)
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認定農業者に減反遵守要件がある怪 | 農業経営者 3月号 | (2006/03/01)

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新食糧法の「作る自由、売る自由」はどこに?



秋田県大潟村のK氏から久しぶりに電話をもらった。大潟村減反闘争の参謀役といえば、「あの人か」と思い浮かぶ方は多いだろう。電話の用向きは、「認定農業者に減反遵守要件があるらしいな。どうなっているのかを調べてよ」というものだった。

K氏と知り合ったのは、大潟村騒動がピークを迎えつつあった20年以上前のことだった。橋渡しをしてくれたのは、法曹界の重鎮、O弁護士。直々に「今度自民党で大潟村問題を勉強することになり、その参考資料としてパンフレットを作ることを決めたので手伝って欲しい」と頼まれた。O弁護士が大潟村問題に首を突っ込むようになったのは、同郷の入植農家から国を相手に訴えた裁判の弁護を頼まれたことがきっかけのようだった。(以下つづく)
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それでも集落営農組織に参加しますか? | 農業経営者 2月号 | (2006/02/01)

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陣立て、冬の陣、夏の陣



行政と農協が「冬の陣」だとはやし立てて農家を「集落営農組織(以下集落営農)」に駆り立てる動きが、各地で繰り広げられています。これは、担い手確保を名目に、農家を囲い込んで農協の肥料や農薬を買わせ、コメも農協に出荷させようという、農協の、農協による、農協救済のための「集落営農」です。(以下つづく)
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農業「勝ち組」の条件、大地震をどう生き残れるか | 農業経営者 1月号 | (2006/01/01)

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香港での世界貿易機関(WTO)農業交渉の閣僚会議。焦点となったコメ問題は先送りされ「4月末めどに関税決着」の閣僚宣言を採択した。

畑作や酪農は、低率関税での決着を想定して2007年度から直接支払い導入が本決まりだ。農業大激震が列島を直撃する。それを先取りしてか農業界は、勝ち組、負け組の区分けが急速に進行する。

新年に当たり本誌読者諸兄が、必ずや勝ち組グループにエントリーされることを祈念したい。(以下つづく)
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農業に熱い視線を向け始めた民間金融機関 | 農業経営者 12月号 | (2005/12/01)

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メディアを賑わしている民間金融機関による農業向け融資。火付け役は、政府系金融機関の統廃合で危機感を募った農林漁業金融公庫。生き残りをかけて地域金融機関との提携を進めたことで、銀行や信金・信組などによる農業向け融資の機運が一気に広がったようだ。

農業者向け融資について農林漁業金融公庫、農協系金融機関、民間金融機関の関係を簡単に整理しておきたい。農地法で株式会社による農地取得には制約があり、株式会社たる銀行は農地を担保に取れず、大きなハンデキャップを負っている。(以下つづく)
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コシBL初デビュー 食味評価に揺らぐマーケット | 農業経営者 11月号 | (2005/11/01)

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アゲインストの風が吹く



注目の新潟コシヒカリBLがマーケットにデビューした。初上場となった7全国米穀取引・価格形成センターの第3回入札(9月22日)の数字は、コシBLに決して「ウェルカム」という数字ではなかった。

第3回入札は、北陸地方のコシが相次いで上場され、新潟一般コシについた値は1俵(60kg玄米)1万8千300円。昨年の第3回入札(9月28日)より400円安い。デビュー戦に万全で臨んだ全農新潟県本部は、地元・新潟日報に「期待外れの結果で驚いている」とコメントした。(以下つづく)
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直接支払いで紐解く9.11衆院選 | 農業経営者 10月号 | (2005/10/01)

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自民圧勝も霞ヶ関はシブイ顔



それにしても自民党の歴史的圧勝には驚いた。選挙戦術は少々乱暴なところも目立ったが、結果をみると天晴れの一語。

惨敗に終わった民主党は選挙戦を総括する間もなく、敗北責任で辞任した岡田代表の後継選出に動き出した。激震冷めやらずか、危機感を抱いた若手のエース前原誠司氏がベテランの菅直人氏に挑む形で代表選に名乗りを上げたが、結果は2票差で前原氏が代表に選ばれた。就任最初のスピーチは、「既得権益にとらわれぬ政策を実行する」だった。(以下つづく)
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作況が引導を渡すか?コシBL商戦  | 農業経営者 9月号 | (2005/09/01)

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大豊作の“えらい”こと



出穂を始めた新潟平野を8月5日と6日にひと回りしてきた。

今年は好天に恵まれ、予想通りスクスク育つ稲の姿を目の当たりにした。同行した山形県の稲作生産者のI氏は「こりゃ、豊作間違いなしですね。もし台風が来なければ(作況指数が)100以上になりますよ」と太鼓判を押していた。上越に集まってきた新潟県内の生産者も異口同音に台風が来ないという条件付きで豊作を確信していたようだ。(以下つづく)
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参加業界人の2/3「BLコシは美味くない」 | 農業経営者 8月号 |  (2005/08/01)

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「(食味比較会は)本年産から全面作付け転換が強行されている新潟県の新品種「BLコシヒカリ」と従来コシヒカリの炊飯食味比較が目的。

会には生産者、米穀業者など65人が参加、炊飯研究の第一人者である平田孝一氏(株式会社サントク)の指導の下、同一条件で炊飯された魚沼産の従来コシとBLコシを食味比較(目隠し方式)した。

この結果、従来コシに投票した人が38人名、BLコシに投票した人が17人で、明らかにBLコシの食味は従来コシに劣る、という判定結果となった。

17年産の新潟県におけるBLコシの作付けはコシヒカリ全体の8割以上に及んでいるが、新潟県は外部の試験研究機関に対しBLコシの原種の提供を拒んでいる。

このままでは精米のDNA鑑定が不可能になることも考えられ、米穀業界全体の大問題に発展しそうだ」(以下つづく)
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BLコシヒカリの無謀な戦略に勝機はあるか? | 農業経営者 7月号 |  (2005/07/01)

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本コラムで取り上げた(2005年の3月号)新潟コシヒカリの「別品種」への一斉更新作戦。どうやら農業界の失敗の本質として後世に伝えられるような出来事になりそうだ。

「食味は同等」に根拠なし



北陸農政局新潟農政事務所・消費流通課長が発出した2005年5月10日付け文書「市町村合併に伴う市町村名について」にはたまげた。

標題の通り、新潟県内でも市町村合併がこの春にいくつかあり、それに併せて玄米袋の産地表記について農政事務所が見解を示したものだが、文書の末尾に標題とは違う項目が記載されていたのだ。(以下つづく)
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