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ホンダ的“農業経営”の発想 | 農業経営者 9月号 | (2005/09/01)
当初は一般の大豆を輸入するだけで、需用やニーズについての見極めも甘かった。そこで、最終顧客に目を向け、焦点を豆腐に絞った。問屋や豆腐メーカーと議論を重ね、種苗会社と共同で高タンパクな品種を開発した。
また、通常の輸入大豆は現地のサイロに保管されるが、私たちは自社の低温倉庫を用いる。酸化値の上昇を避け、劣化のない状態で原料を届けることも、大事な役割だと思っているからだ。
ものを作る上では、PDCAが欠かせない。plan(計画)、do(実施)、check(確認)、act(行動)をサイクルとして回し、日々の、あるいは毎年の改善につなげていく。そのため当社の大豆には一袋ごとにシリアルナンバーが縫い込まれている。番号によって、到着日から、出発港、農家名、栽培履歴と、すべてが遡れる。
これも顧客の声を吸い上げ、より良い商品を作る立場としては当然の発想だ。「安全・安心」を狙った仕組みではなかったが、結果的にトレーサビリティの確立にもつながり、商品性を向上させた。
自動車の場合、今では現地で作った部品を使い、現地生産する割合がかなり高くなった。すでに、米国でホンダの車に乗る人の多くは「日本車」とは意識していない。
農産物については、「国産」「輸入品」という区別がまだ残っているが、私はそうした仕分けには、もうあまり意味がないと思っている。作る側も、「日本人だから」「日本を拠点に」などと考える必要はないのではないか。むしろ個人のアイデンティティやアイデアを具現化することが大切であって、作る場所にとらわれることはない。地球は、私たちが考えているほど大きくはないのだ。
大豆は移動させやすく、加工性に優れたポテンシャルの高い商品だ。大豆ペプチドやイソフラボンが脚光を浴び、豆乳は欧米人の間でも人気が高まっている。当社の大豆の売れ行きも好調で、供給責任を果たすため、南半球でも生産できないかを検討している。
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