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提言 | 視点

消し去られる農水省の“罪” | 農業経営者 1月号 |  (2005/01/01)

【ノンフィクション作家・ジャーナリスト 溝口 敦】
view0501.gif 私がハンナングループの総帥・浅田満被告(公判中)に興味をもったのは、十数年前のことだった。当時から食肉業界のボスというだけでなく、部落解放同盟と山口組をバックに持つフィクサーとして知られ、その存在は行政からもメディアからも、一種の「聖域」として扱われてきた。

BSE(牛海綿状脳症)対策の国産牛肉買い上げ事業で、浅田被告は暗躍し、巨額の補助金を不正に手に入れた。その背景には食肉の流通に絡む不透明さ、複雑さがある。

矮小化された事件



農業保護の名のもと、輸入牛肉には高額の関税がかけられ、消費者は高い肉を食べている。関税のうち相当な額が農畜産業振興事業団(当時)に予算として上がり、その中から偽装された輸入牛肉を買い上げる金が出された。

その際、多数の食肉業者の“交通整理役”とされたのが、浅田被告のような有力者だ。同和地区と屠畜解体・食肉業者に対し、行政は長年、当たらず触らずの姿勢をとってきた。農水省は彼らに対し、「適当に金をばらまいておけば、多少の不正はかまわない」という態度ではなかったか。

事実、買い取り牛肉の検品はずさんだったし、農水省は抽出検査の対象となる牛肉のロット番号を事前にハンナン側に伝えていた。そもそも買い上げ制度の創設に向けて、農水省と族議員、旧事業団、食肉業界団体がどう動いたのか。本当はそこから疑ってかかる必要があるのだが、警察は同和業者に対して捜査のメスを入れたという結果作りに懸命で、事件のストーリーを矮小化してしまった。検察も浅田被告ら一部の業者だけを「加害者」として、罪に問おうとしている。

だが、裁判で弁護側が「農水省が不正を黙認した」と主張し始めたことで、その論理は破綻の兆候を見せている。

変わらない農水官僚と業界



今回の摘発で同和のタブーはかなり破られたが、食肉の世界は大して変わってはいない。今も流通に行政や天下り団体が関与し、業界団体は内向きで、消費者の方など見ようとしない。

私は、農水省の仕事とは、生産者と消費者の距離を縮め、流通の透明性を高めて、安くておいしく安全な肉を提供することだと思う。同時に、和牛など国際競争力のある分野がもっと伸びるように、生産をバックアップするような態勢作りが必要なのではないか。

しかし、一連の事件を経ても、農水省から、食肉業界を改革しようという意識は感じられない。所詮、縄張りを守ることしか考えないのが役人であり、彼らに何かを求めても、百年河清をまつことになるのだろうか。
(インタビュー・まとめ 秋山基)
溝口 敦(みぞぐち あつし)
1942年東京生まれ。早大政経学部卒。出版社勤務などを経てフリーに。主著に「血と抗争 山口組三代目」など一連の山口組ドキュメントのほか、「日本発!世界技術」「あぶない食品」など。ハンナングループの偽装工作を事件発覚前に暴いた「食肉の帝王」で03年講談社ノンフィクション賞。
Posted by 編集部 11:30

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