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提言 | 視点

「安心の幻想」を解く責務 | 農業経営者9月号 |  (2007/09/01)

【(株)リテラシー(リテラジャパン)代表取締役社長 西澤真理子】
視点 「安全安心」がさかんに言われるようになったのは、2000年頃からだと思う。バブル崩壊後、社会構造の転換によって、日本人は足元を揺さぶられ、不安を感じるようになった。

問題は安全と安心がひとくくりに語られることだ。何を安心と思うかは個々人によっても異なり、不安に襲われた人はゼロリスクを求めがちとなる。

リスクはどう伝わるか



消費者の“わがまま”はリスク認知のプロセスによって説明できる。人が技術や商品を受容するか否かを決める際、便益とリスクを天秤にかけ、便益が大きければリスクを受け入れ、逆であれば拒否する心理作用が働く。だから、たばこの害は知りつつも、一服は止められないといった現象が起きる。

また、それらに見覚えや親しみがあるか、自分で選択やコントロールができるか、倫理的に問題があるかによっても、リスク認知は左右される。生産者の顔写真付きの地元野菜が中国産より好まれるのは、身近に感じられるからだ。農薬への抵抗感は、消費者が自分でコントロールできない不安から生じる。

リスクは、メディアの伝え方によっても増幅される。BSE(牛海綿状脳症)の報道では、感染牛が倒れる映像が繰り返し流され、「人間もああなる」というイメージが刷り込まれた。

事業者の側にも問題はある。例えば、遺伝子組み換え食品の表示がそうだ。組み換え原料の混入量が5%以下なら「組み換えでない」と表示できる制度も問題だが、実際には混入しているのに、「入っていない」と信じ込ませる企業もあり、結果的には「組み換えは危険」というイメージを与え続けている。

多くの消費者は、遺伝子組み換えを正しく理解していない。原料供給の将来を考えれば、事業者もジレンマを抱えているのだろうが、消費者と一緒になって「安心の幻想」にしがみついている。

情報を発信する役割



消費者に媚びる姿勢や、イメージを使ったマーケティングは、長い目で見れば、事業者の首をしめる。だからこそ、事業者・科学者・行政の側から正確なリスク情報を積極的に発信するリスク・コミュニケーションが重要となる。メディアの誤った報道に対しても、まとまって反論すべきだ。

農業者も例外ではない。消費者にアンケートで聞けば、多くの人が「農業は大切」と答える。だが、消費者は生産現場についてほとんど何も知らない。

生産する側の事情や不確実性、許容すべきリスクをきちんと伝えること。そうした長期的な視点に立った責任ある役割が、農業経営者たちには期待されている。
(インタビュー・まとめ 秋山基)
西澤真理子(にしざわ まりこ)
横浜市育ち。上智大外国語学部卒業後、製品安全コンサルタントなどを経て、ロンドン大学インペリアルカレッジで博士号取得(リスク政策とリスク・コミュニケーション)。ドイツ・シュトゥットガルト大学社会学部で研究の後、帰国。06年から現職。東京大学農学部非常勤講師。
http://www.literajapan.com
Posted by 編集部 11:30

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