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編集長コラム

人生に必要な荷物 いらない荷物 | 農業経営者 6月号 |  (1998/06/01)

【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -profile
あえて友人と呼ばせて頂く研究者の方から、農水省の試験場を退職されたとの手紙をいただいた。僕より僅かに年上だが、定年の年齢にはまだ早い。真面目な人柄で、専門の分野の枠にはまらない自由な発想を持った優れた研究者である。仮に意見が違っていたとしても、会えばいつも彼の研究者としての根源的な知的誠実性に共感を感じていた。

受け取った退職の挨拶状には「研究その物が与えてくれた充実感と試験研究機関運営との間の落差に感じるところがあり退職を決意した」とあった。
まだ直接、話を聞いたわけではないが、その人柄を考えれば「職務」としての調査研究はできたとしても、現在の農水省の研究体制での仕事に、研究者としての熱意を持てなくなることもあるかもしれない。人はそれをわがままだというかもしれないし、

「俺、そんな贅沢言えねーよ」という方も少なくないだろう。

今、農業関係のあらゆる職場で同じ様な葛藤を抱えておられる方が沢山いるのではないだろうか。それぞれの立場で問題は異なるかもしれないが、根本的には我が国の社会や農業や組織についての基本的な枠組みの変化にその原因があるのだろう。あるいは変化している現実に行政や組織の論理が噛み合わないことに由来する組織人の葛藤もあるかもしれない。

むしろ、きっぱりと退職を決意できる彼に嫉妬を感じる人もいるのではないだろうか。

この挨拶状を読んで『人生に必要な荷物 いらない荷物』(ディック・J・ライダー/デイブ・A・サピーロ著、枝廣淳子訳、本体価格1748円、サンマーク出版刊、TEL03-5272-3166)という本を思い出した。同世代の友人たちに紹介したい本だ。

人は誰でも、ある年齢になると引きずってきた人生の「カバンの中身」を重荷と感じるようになる。人生の「午後」や「夕方」をより充実したものにするために、人生というカバンの中身の「詰め直し」作業が必要になってくるのだ。

これまで大事だと思って持ってきたもののすべてが、これからの人生においても必要なものなのだろうか。今、自分が人生の旅路のどこにおり、どこが目的地で、そこに至る道筋は?

それを知る手立ては自らの内的な方向感覚に頼るしかない。まずは、引きずってきたカバンを開け、中身を取り出して詰め直さなければならないのだ。

しかし、大部分の人は、中年期の危機や何か困ったことが起きた渦中で決断を下そうとしがちだ。そのためにパニックを起こしたり、恐怖に陥ったりする。その時の決断はそのパニックや恐怖を反映したものになってしまう。

著者は、荷物の詰め直しのヒントをマサイ族の友人から教えられたのだという。

「選択の自由とは、何を持つかを選ぶことではない。手にしたものは、なくすこともあるだろう。そうではなく、自分自身が何であるかを選ぶことなんだ」と。

著者は、個人や企業に対する自己啓発や人材開発を行なうコンサルタントだそうだが、この本は二人の著者が自分自身のカバンを詰め直してきた作業の記録であり、そのためのガイドブックでもある。

前出の友人も、まさに自分自身が何であるかを選んだのであろう。

同時にこうも考えられないだろうか。

現在とは、すでに過去の結果に過ぎない。現在にしがみつくこととは過去にすがっていることだ。だとするなら我々は未来のための今日を探すべきだ。そして常に「考えるより産むが易し」なのだ。

友人には困難もあるかもしれない。でも、カバンは軽くなったはずだ。今、彼は歩みも軽く、より大きな歩幅の人生を歩み始めたのではないだろうか。
Posted by 編集部 08:30

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