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提言 | 視点

国民的コンセンサスなき日本農業 | 農業経営者 12月号 |  (2004/12/01)

【作家 高村 薫】
view0412.jpg 私は都会生まれの都会育ちだが、消費者の目で農業を眺め、多くの疑問も抱いてきた。食は人間の基本であると考え、かつて小説に、中国で農場経営をする日本人を描いたことがある。近作には自民党農林族の政治家を主人公として登場させた。

価値観の混乱とちぐはぐさ



長い間、私の中で農業とは、何かしらうまくいっていないものの代表だった。農業離れ、後継者不足、過疎といった問題が進み、貿易交渉はもめ続けている。
ところが、ふとこの頃気づくと、農業をめぐる言葉が急に賑々しく、これにも違和感をおぼえる。農業自体はさほど変わっていないはずなのに、インターネットの影響なのか、「顔が見える」「無農薬」「スローフード」など、体裁の良い言葉ばかりが氾濫している。

多くの消費者は手前勝手なニーズを口にするだけで、農業について地に足の着いた関心を持っていない。生産側でも、高付加価値で採算性のある商品を作る人はごく一部だろう。農業を産業として成り立たせるための体系的な取り組みも、一向に見えてはこない。

要は、農業のあり方についての意識がバラバラで、食に対する価値観が混乱している。百貨店の高級野菜売り場に、萎びてまずそうな有機野菜が恭しく並べられるちぐはぐさ。地方で農地が荒廃しているのに、都市部では住民が貸し農園の順番待ちをするような矛盾。生産と消費は近くなったようで、実はまったくかみ合っていない。

才覚があり、土を愛する人に



今、必要なのは、日本の農業はこうあるべきだという国民全体のコンセンサスと合理的な発想ではないだろうか。農業が職業である以上、生産者にはもうけてもらわないと困る。自然とのバランスも考えなくてはならない。そのためには、才覚があり、土を愛する人だけが技術を継承し、参入と離脱が簡単にできるような仕組みが求められる。

近郊農業の復活も考えるべきだろう。日本の人口は今後減っていき、土地は余る方向にある。であれば、住宅地の真ん中に畑があってもかまわない。文字通り、産地が見えるわけだし、消費者は、採れたての野菜を低コストで食べられるからだ。

生産者には社会に向かって技術を誇れるような仕事をし、見てくれだけでなく本当においしい物を作ってほしい。おいしさが伝わった時、初めて生産と消費はつながることができるのだし、農薬使用などについても、お互い理性的に歩み寄れる。
流通を含むすべてのシステムの再編は、そこから始まるのではないだろうか。
(インタビュー・まとめ 秋山基)
高村 薫(高村 かおる)
1953年大阪生まれ。国際基督教大卒。貿易会社勤務を経て、90年「黄金を抱いて翔べ」でデビュー。93年警察小説「マークスの山」で直木賞。企業トップの誘拐を扱ったベストセラー「レディ・ジョーカー」は映画化され、この冬公開。緻密な取材と社会への鋭い視点で知られ、他に「李歐」「神の火」「照柿」などがある。
Posted by 編集部 11:30

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