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編集長コラム

鶴巻義夫氏の批判と問いに対して | 農業経営者 4月号 | (2006/04/01)

【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -profile
先月号の当欄の記事に関して、新潟県の鶴巻義夫氏からご批判の電話を頂いた。「北陸研究センターでの遺伝子組換え稲の野外圃場実験」への反対運動を批判し、実験の必要性を語った。その筆者への批判である。

運動の中心人物である同氏は、筆者の遺伝子組換え技術に関する意見を了解しており、否定もしない。しかし、新潟県で有機農業に取り組む者、有機農業で事業を営む者の死活問題として、北陸研究センターでの野外圃場実験に反対せざるを得ないことへの理解が欲しいと話された。
同氏は、遺伝子組換えという領域に人は踏み込むべきではないという哲学的信念を持つ。それでも、やがてそれがあたりまえになる時代も来るだろうとも予測しておられる。

しかし、遺伝子組換え技術が持つリスクの大小を語ることや、筆者が言う日本のコメ農業発展の戦略的必要性があること以前に、現在、有機農業で事業をする者への営業妨害の問題にどう答えるか、と問われた。鶴巻氏の顧客とは、農薬使用を忌避し、遺伝子組換え技術に対する不安を抱く人々。顧客に選ばれ、必要とされてこそ我々の仕事は在り得るというのが、鶴巻氏だけでなく筆者にとっても共通の理念である。鶴巻氏のことは、筆者自身が本誌「経営者ルポ」(1998年6月号)で「顧客に試され、お天道様に裁かれる」というタイトルで紹介している。

同氏は、我が国の有機農業運動を草創期から育てきた実践家の一人。産直という言葉も無い時代からそれに取組み、たぶん、我が国の農業者の中でも、もっとも早くに顧客あるいは食べる者の存在を自覚した農業者の一人だろう。その求めに応じてこそ自らの農業経営があることを自負とし、それを実践してこられた。かくあるべきと思う経営者、そして人としての在り様を体現しておられる、筆者が尊敬する方である。

また、有機農業運動家としても、農薬技術のリスクについての認識が低く、無農薬栽培のための技術開発もほとんどなかった時代、それだけに無農薬栽培に取り組むことで生じる、農業・農村社会での軋轢が大きかった時代から、信念を持ってその実践を積み重ねてきた方である。

現在は、自社ブランドでの有機農産物の生産・加工にとどまらず、各地の有機農産物生産者の野菜などを、同氏の認証基準に合う加工場で受託加工する仕事もなさっておられる。それとともに、有機農業のリーダーとしての発言や活動に取り組んでおられる。

筆者は、鶴巻氏の批判をもっともだと思う。そして、その批判と問いに完全な答えを持ち得ていない。

しかし、どれほど鶴巻氏を尊敬していても、我が国の農業で遺伝子組換えに関する技術開発と生産段階での経営実験を進めるべきだという、筆者の意見は変わらない。

すでに世界の先進国の大勢が遺伝子組換え作物の生産を容認する方向にあり、我が国だけがそれを留保することの国家的損失が大きいと思うからだ。筆者がそう云う前提としているのは、“絶対”などという言葉を使わないが、遺伝子組換え技術は、開発段階での高い管理の下に置かれる限り、フグや毒キノコや自動車や飛行機のように、我々があたりまえに受け入れている物事と比べてもはるかにリスクが小さいからだ。

むしろ、その不安を煽り続ける社会風土こそ問われるべきであり、鶴巻さんもその被害者なのだ。
Posted by 編集部 08:30

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