執筆者一覧

農業ビジネス
農業経営者twitter
デジタル見本誌

アーカイブ
2019
11 09 08 06 04 03 02
2018
12 10 08 07 04
2017
12 10 08 06 05 03 02 01
2016
12 11 10 07 06 04 03 02
2015
12 11 10 09 08 07 06 04 03 02
2014
12 11 10 09 07 06 05 03 02 01
2013
12 11 10 09 08 07 06 04 02
2012
12 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2011
12 09 08 07 06 05 04 03 02
2010
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2009
12 11 10 09 07 06 05 04 03 02 01
2008
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2007
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 01
2006
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2005
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2004
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2003
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2002
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2001
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2000
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
1999
12 11 10 09 08 07 06 05 04 02 01
1998
12 11 10 09 08 07 06 04 02
1997
12 10 08 06 04 02
1996
12 10 08 06 04 02
1995
12 10 08 06 04 03
1994
12 09 06 03 01
1993
10 07 05
文字のサイズ
中
大

HOME > 農業技術  > 乾田直播による水田経...  >Vol.12 アメリカ...

農業技術 | 乾田直播による水田経営革新

Vol.12 アメリカライス連合会レポート | 農業経営者 新年合併号 | (2007/01/01)

【コメ産業コンサルタント 田牧一郎 -profile

遺伝子組み換え長粒種の混入問題



今回は米国のコメ業界(特に南部生産州)にとって大きな問題となっている、遺伝子組み換え米の混入問題について、コメ業界団体の対応をレポートしよう。

2006年12月初旬、アメリカライス連合会(US Rice Federation)の年次大会が、ネバダ州ラスベガスで開かれた。米国のコメ業界にとっては毎年恒例の大きな行事であり、その年の生産や流通、輸出状況、そして来年の見通しなどをテーマとしたイベントである。

2006年度はラスベガスという開催場所の影響もあり、主催者発表で800人を超える多数の関係者が集まった。2007年に新しく決まる農業法についての関心が高く、米国農務省担当者からの説明や業界としての要望、今後の見通しなども含めた説明が行なわれた。

今回の大会で特筆すべきは、例年のプログラムが変更され、遺伝子組み換え長粒種の混入問題が議論されたことである。今大会で準備されたプログラムの中で、出席者が最も多く、用意された椅子が足りずに立って話を聞く参加者までいたことが、関心の高さを示していた。

米国のコメ業界に衝撃を与えた発表



発端は2006年8月18日の米国農務省からの発表である。マイク・ジョハンス農務長官が、「米国のコマーシャルベースで生産された長粒種のサンプルから、遺伝子組み換え米が検出された」と発表した。

この発表は、米国のコメ業界に大きな衝撃を与えた。米国のコメを輸入している国々にも、この衝撃は時間をおかずに伝わった。米国のコマーシャル生産のコメには、遺伝子組み換え米は含まれていないはずであった。検査を受けて登録され、栽培が認められている遺伝子組み換え米の品種はあるが、実際の栽培は行なわれていない。したがって流通しているコメに混入するはずがないというのが、役所も含めた関係者の共通の認識であった。

ジョハンス農務長官および米国FDAは、混入確認の発表の後すぐに、この遺伝子組み換え米は人が食べても健康に害が出ることはなく、環境にも悪影響はないとのコメントを出している。

制限なしから全面禁止まで主要輸入国の反応



米国のコメを輸入している国々の反応はまちまちであった。

最も大きな取引先であるメキシコは、発表後も変わらずに輸入を継続している。ハイチも同様である。

日本は米国のコメ輸入時に検査を行ない、混入がないことが確認されたものだけを輸入している。台湾・韓国も、日本同様混入がないことが確認できれば、輸入することになっている。また、イラクはテスト後に混入比率1%までを基準として、輸入を行なっている。カナダもイラク同様、0.5~1%の基準値を用いている。

一方、EUは非常に厳しい制限をつけている。実際にEUに輸出されたコメから遺伝子組み換え米が検出され、港に到着した船から降ろすことができなかったものがあった。また、モミ、玄米、そして白米でも検査を行ない、それぞれ検出なしの結果が出ていたにもかかわらず、船積み段階の最終検査で検出され、輸入しなかったという報告もあった。

輸入の止まったEUで逼迫する精米業者



大会にはEUの精米業界代表も参加し、現地の状況を説明した。これまでは毎年米国から30万t程度の輸入実績があったが、輸入の止まった2006年8月からEUでは徐々に米国産のコメの市場が消えようとしている。ロンドンから参加していた精米業者は、米国のコメ業界に対して強い要望を出していた。「自分を含めて米国のコメを扱ってきた業者は売るコメがなく、死活問題になっている。EUの規制に合格できるコメを生産し、輸出してほしい」とのことであった。

アメリカライス連合会のアクションプラン



アメリカライス連合会は農務長官の発表後、現状や将来への対応を検討してきた。各州の業界代表や専門家のチームによる、次のようなアクションプランをまとめた。

2007年に使用する種子の全量について、遺伝子組み換えイネの種子が混入していないことの検査を行なう。
検査合格済みの種子に証明書(LLネガティブ証明書)を発行し、種子販売業者から生産者に証明書付きで種子が販売される。
その証明済みの種子で栽培したコメのみを収穫し、精米業者や輸出業者に販売する。
乾燥所や精米所は、生産者のモミを荷受けするときは、LLネガティブ証明書のついた種子を使用したことを確認する。
種子と生産から製品まで、すべてトレースできるようにする。


これによって、2007年に使用する種子には、遺伝子組み換えイネが入っていないことを証明できるはずである。加えて連合会として、遺伝子組み換えの研究に対して支持する立場をとることには変更がない。しかし遺伝子組み換えイネの商業生産への移行については、安全性などについて科学的根拠が確認されるまで、反対する立場も同時に表明している。

今回発表されたアクションプランについて「これを確実に実行することが、輸入国そして顧客の信頼を獲得する方法である」との連合会会長の決意表明もあった。考えられるベストを尽くすのが、業界人としての使命であり、輸出の復活を図る唯一の方法と思える。米国のコメ業界の将来のためにも、良い結果が出ることを期待したい。

ちなみにカリフォルニアで生産されている中粒種と短粒種には、遺伝子組み換えの種子が混入していることはない。問題の品種は長粒種であり、中・短粒種とは区別が簡単である。そもそもカリフォルニアでの長粒種の作付け面積は非常に少ない。育種試験場でも、8月の農務長官発表を受けて、研究中のイネも含めすべての種子を検査し、混入がないことを確認したと発表している。
Posted by 編集部 10:29

このエントリーのトラックバックURL:

コメントする