執筆者一覧

農業ビジネス
農業経営者twitter
農業ビジネスtwitter
浅川芳裕
A-1
デジタル見本誌
貸しはがし事件記
eooo!

アーカイブ
2012
05 04 03 02 01
2011
12 09 08 07 06 05 04 03 02
2010
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2009
12 11 10 09 07 06 05 04 03 02 01
2008
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2007
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 01
2006
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2005
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2004
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2003
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2002
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2001
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
2000
12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01
1999
12 11 10 09 08 07 06 05 04 02 01
1998
12 11 10 09 08 07 06 04 02
1997
12 10 08 06 04 02
1996
12 10 08 06 04 02
1995
12 10 08 06 04 03
1994
12 09 06 03 01
1993
10 07 05
文字のサイズ
中
大

HOME > 農業技術  > 乾田直播による水田経...  >Vol.23【最終回】&nbs...

農業技術 | 乾田直播による水田経営革新

Vol.23【最終回】 乾田直播が生んだ世界に通じるビジネスモデル | 農業経営者 1月号 |  (2008/01/01)

【コメ産業コンサルタント 田牧一郎 -profile

日本品種をめぐる世界各地の取り組み



本誌2006年2月号からこの連載を始め、カリフォルニアや南米の稲作、世界のコメ業界の話題などを紹介してきた。世界各地のコメ産地では、それぞれに問題を抱えながら、存続のために努力を続けている。

カリフォルニアでは、米国内および日本市場で売れるコメとして、日本品種の生産体制の確立に挑戦するグループがある。ウルグアイでは国内有数の精米業者が、輸出商品として日本品種の試作を開始した。また、チリでは生産者グループが輸入米に負けないコメ産業を目指し、動いている。アジアに目を向けると、台湾には日本品種を使った高品質米の生産を学ぼうとする生産者や精米業者が多くいる。
それぞれの産地の立地条件や経済環境の違いから、目的は同じでも、対策は違っている。しかし、すべてに共通する部分は、生産者がつくらなければ何も始まらないということである。精米業者が何と言おうと、品種の選択、そして栽培方法の選択も、生産者の意志である。精米業者はできる限り売りやすいコメを生産者に栽培してもらうべく、価格や技術対策でインセンティブを付けている。流通業者が売りやすいコメを欲しがっても、生産者にその意志が伝わらなければ、必要とする製品は出てこない。どこの国も一緒であるが、行政や農業団体が笛を吹いても、簡単に生産者が踊り出すわけではない。

売れるコメづくりに必要な条件とは?



2007年、私はカリフォルニアで関わっている生産者グループの有志と、2万t規模のコメ乾燥保管設備の買収に加わった。乾燥技術や品質管理の対策を依頼されたこともあり、小規模出資者となって、新会社の経営に参画しているのである。このグループも将来の展望として、売れるコメをつくらなければ生き残れないとの明確な認識がある。乾燥保管設備の買収は、その対策の一環であった。高品質米を販売するためには、乾燥保管を確実に行なうことが重要と認識し、行動を開始してからわずか1年足らずでの実現だった。

売れるコメをつくるにあたっては、精米設備も大きな役割を担っている。良い原料を生産者がつくり、乾燥保管を上手に行ない、精米工場に運んで製品に仕上げる。これが、コメが商品になるフローである。

カリフォルニアの精米工場は規模が大きく、短時間で大量の白米をつくるのが主な目的である。こうしたなか、今年からご飯用の「食べて美味しいコメ」の精米に、本気で取り組んでくれる会社と仕事ができるようになった。最新の精米機を含め、関連機械を日本から取り寄せて、精米ラインを一新した。日本の最新工場と比較してもひけをとらない設備となり、作業に携わる従業員には、品質管理方法も含めて精米ラインの運転方法を学んでもらっている。

商品づくりのためには、最新の設備と最善の技術を使ってこそ、その目標に近づくことが可能になる。今年はその第一歩を踏み出したとも言える。カリフォルニアで長い間コメに関わってきたが、ようやく考えていたものが実現できるようになってきた。売れるコメをつくるためには、技術と努力の積み重ねが必要である。確固たる理論と、実現のための技術的裏付けを持ち、関係者の理解を得る。そしてそれぞれのパートを担ってもらうことが、売れるコメづくりの原則なのである。

カリフォルニアでの成功からさらなる飛躍を求めて



生産者や流通業界の研修会などでは、売れるコメづくりをテーマにした集まりが多い。私も実際にいくつか参加させてもらったことがある。コメ業界にとっては永遠のテーマであろう。社会情勢が変われば、それに伴って対策も変わる。おおいに議論し、勉強すべきだと思う。

そうしたなか、私が関わってきたカリフォルニアのケースは、数少ない成功例のひとつであると、自信を持って言える。目的をもってつくり出した製品と、それを支える技術と設備、そしてそれらを担っている人々の努力が続いていることが、自信の裏付けである。まだ始まったばかりではあるが、これから飛躍的に成長するはずである。私の役目も一段落である。コンサルタントとして関わってきて、その成果を見ることができるのは大きな喜びである。

カリフォルニアの分業稲作でできたコメが、精米業者の手によって製品となり、販売業者を通じて世界中で消費されている。売れるコメづくりが、ひとつのビジネスモデルとして完成した。この手法をベースに、各産地の条件に応じたアレンジを加えることで、南米やアジアでも同じことが実現できる可能性は大きい。当然日本でもできると確信している。ここまで至るには、いろいろな方々のご協力を得てきた。

しかしこの手法を基本から理解し、再構築できるのは、現在私しかいないのが残念である。「競争がなくて良い」と利己的には言えるが、本来競争があって、それぞれが向上するのが技術や知識であると理解している。それが働かないのはやはり残念である。ただ、現在も次の目標に向けての作業や、問題解決の対策など、やるべきことは山ほどある。残念がっているよりも、チャレンジし続けていきたいものである。そのほうが私には向いているような気がするし、楽しくも感じている。

■おわりに■

以上、約2年間にわたって連載をさせていただきました。この連載で何かが変わり、誰かの役に立てればと思いながら継続してきました。編集者と読者の皆さまに支えられてきましたが、今回でひと区切りさせていただきます。長い間ありがとうございました。これからのコメづくりやコメビジネスについて、世界規模で勉強し、仕事としたい方がいれば、是非お知らせ下さい。希望内容にもよりますが、勉強の場を提供することは可能だと思います。

連絡先:ictamaki@hotmail.co.jp
Posted by 編集部 10:29

このエントリーのトラックバックURL:

コメントする