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農業技術 | 乾田直播による水田経営革新

Vol.22 日本と世界の直播栽培の現状を振り返って | 農業経営者 12月号 |  (2007/12/01)

【コメ産業コンサルタント 田牧一郎 -profile
現在、日本での直播栽培面積は、微増状態である。技術も確立され、反収も移植栽培と遜色ない水準になっている。労働時間の削減効果は明らかであり、肉体労働の軽減は誰もが認めるところである。コスト低減や規模拡大、他品目の導入機会の創出など、経営上のメリットは非常に大きいと言える。

ただ、圃場が分散し、経営面積が小規模な府県では、レベラーや播種機といった設備投資を伴う新技術の導入には、時間がかかることも事実である。その点については理解できるが、面積が比較的大きく、経営として稲作をとらえる生産者が多い北海道で、直播技術がさほど経営に取り込まれていない実態は残念なことである。どこが問題なのか、考えさせられる訪問でもあった。

乾田直播栽培の普及が国内で進まない理由



府県の場合は、愛知県で開発された不耕起V溝方式の直播栽培が普及している。しかし普及面積は、全作付面積に対してまだまだ小さい。自治体や営農組織が積極的に技術普及を図った結果が、現在の栽培面積の実績である。コメ生産者が自ら積極的に取り組んだ例は、むしろ少ないと言える。

コメの生産と販売の環境が、せっかくの技術を眠らせているとも考えられる。コメの価格低迷がどこで止まるのか、見当がつかない状況である。少しくらい生産コストを下げても、追いつかないのではないかと、取り組みに消極的になるのも理解できる。とにかく現状維持でじっと耐えているのが、日本の稲作の現状ではないだろうか。

実に残念な状況である。経営には停滞もあり、じっと我慢する時期も必要である。しかし生産を担っている現場は、常に新しい生産技術と品質向上に向けた対策、そして低コストの生産に最大限の努力を傾注すべきである。この部分までもが一緒に停滞していて、一体いつ浮上できるというのだろうか? いつまでたっても、現状維持しかできない体質になっているのではないか。

時代を担う多面的な役割とますます高まる重要性



この2年間、日本での乾田直播栽培を勉強させてもらいながら、同時に南米を中心とした世界各地の稲作も見てきた。 結論として言えることは、日本式の乾田直播方式は、世界に通用する技術である。特に日本品種の低コスト良質米の生産では、この技術以外にないと言える。

さらに研究を進めることで、中粒種や長粒種の生産にも大きく貢献できる可能性がある。それは厳格な収量構成要素の計算と、その各要因の確保対策にある。少量の種子を播き、必要最小限の肥料と水で生産を行なう乾田直播栽培は、ほかの生産方式と比較して非常に優れているのである。

環境対策、コスト対策、水資源対策、穀物の増産対策など、いずれの面から見ても、乾田直播栽培はこれからの時代に求められる優れた技術である。しかも北海道のような春の遅い寒冷地でも、実用的な技術になっているのである。

人口の増加に伴って穀物消費量も増加し、さらにエネルギー源として穀物や糖類が使用され始めた昨今、コメの位置づけはますます重要になっている。そんななか、様々な技術を含め、コメをつくる手段を持っているのは、生産者だけである。目の前にある、確立された技術を使うことができるのも、生産者である。日本で開発された技術には、日本の生産者がもっとも取り組みやすい立場にいる。技術の根本にある考え方を理解しやすいのである。

素晴らしい結果が出たカリフォルニアの取り組



カリフォルニアで乾田直播栽培を試みていることを、本誌の連載で紹介してきたが、非常に良い結果が出ている。イネの生育期間中の日照時間が長く、また高温乾燥の条件下では病害虫の発生が少ないのである。せいぜい問題といえば、除草対策のみといっても過言ではない。このような環境のもとで、うまくいかないはずがないのである。

これまで、単位面積あたりの播種量の違い、播種時期の違い、除草剤のタイミングや種類の違い、そして水田の均平度合いの違いなど、栽培条件の異なる圃場で作付けを行なってきた。レベリングがよくできている圃場では、10aあたり4kgの種子を播き、600kg前後の玄米を収穫することができている。

初めての取り組みのなか、新型播種機の使い方と調整の仕方には苦労させられた。しかし、実際の作業の積み重ねから、目標とした1cm以内の播種深度を、正確に実現できたことが大きかったと考えている。

直播面積を拡大し農業の将来を切り開く



来年の計画のなかで、グループ内の乾田直播栽培面積が増加することは間違いない。理由は簡単である。倒伏に強く、高反収の可能性があるからである。

生産コストの面でも、種子代金の低減、飛行機による委託作業費の削減が可能になる。トラクタは既に所有しており、レベラーも手に入れている生産者が多い。播種機のみ新たな投資になるが、トウモロコシや小麦、ヒマワリなどを生産している場合は、播種機も既に所有しており、新たな機械への投資はまったくない。あるのは、経験したことも見たこともない技術に対する不安くらいであった。そんな不安も、グループ内の生産者の圃場を実際に見て、生育状況を聞くことで解消し、新たな技術に取り組む決意が生まれるのである。経営的に見て、利益確保の確率が高い方を選ぶのは、当然のことである。

ちなみに日本品種は、乾田直播栽培で生産すると、倒伏が劇的に軽減され、収穫作業の時間が短縮できる。燃料コストや機械の修繕費も大きく節約できる。品質的にも千粒重が重く、従来の貧弱な粒とは見違えるほどになり、市場の評価も高くなる。

除草対策など、これからの課題として残っているものもあるが、取り組み初年度としては満足できる結果であった。カリフォルニアの農業経営者たちが乾田直播栽培に挑戦した結果は、十分誇れるものになった。このような挑戦の繰り返しが、農業の将来を切り開いていく基礎になるのだと思う。
Posted by 編集部 10:29

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