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提言 | 視点

未来のために正直であれ | 農業経営者 12月号 |  (2007/12/01)

【明治学院大学 経済学部 経済学科 教授・農学博士 神門善久】
視点 現下、農地と外国人就農に関して、違法行為・脱法行為が蔓延している。農地法に違反して農地転用や農地所有が行なわれたり、課税基準に反して遊休農地に相続税が減免されたり、外国人就農者が違法残業を繰り返すなどといった行為が頻発したりしている。近年、流通面では市場経済が進んだが、農地と労働では、無秩序化という市場経済とは全く逆方向に向かっている。
そうした問題を、私は昨年出版した『日本の食と農』において糾した。同書が1万部近く売れているのにかかわらず、議論として反映されることは、ほとんどない。

農業界では何か問題が起きると、政府やJAに責任転嫁する傾向にあるが、自ら声を上げない当事者、農業経営者たるあなた方にも責任はあるのではないか。問題を認識しつつも「面倒だから何もしないでおこう」という選択肢を選ぶのであれば、日本の農業が衰退していったとしても仕方がないだろう。

事実の把握をする意義



農業界が現在抱えている問題を解決する前提として、まず事実を把握する必要がある。

たとえば、違法・脱法で転用や遊休化している農地の存在を徹底的に洗い出すべきだ。現在のように農地パトロールでお茶を濁すのではなく、土地台帳や課税台帳と現実の土地利用を徹底的に付き合わすべきだ。GPS技術は発達しているし、農家やその代表機関であるJAや農業委員会がその気になれば、すぐにでもできる。

現実の問題を直視することで、国民的議論を喚起し、問題解決のための政策提言もできる。そのためには、現状に対して善か悪かの判断をするのではなく、正直か不正直でいるかが問われてくるともいえよう。「農業の将来を良くしたい」と口先では言いながら、現実から目を背ける態度は最も恥ずべきものだと思う。

率先して襟を正せ



10年後、20年後を見越すと、農産物貿易自由化はもちろん、農業資本や農業労働が活発に国境を越えて移動する時代が来るであろう。国内農業政策といえども、外国からの農業参入の潜在的な希望者に対する公平性・透明性を確保しなければならない。さらには、日本が、東アジアの共通農業政策づくりの先導的役割を果たすべきである。

きちんとしたルールのもとで農地利用や労働雇用が行なわれるようになれば、日本農業は大いに発展していくに違いない。明るい未来のためにも、まず、農業経営者自身が襟を正し、違法・脱法行為が蔓延している実態を衆目の前に明らかにし、新たなルールづくりを社会に問い掛けるべきだ。
(まとめ 鈴木工)
神門善久(ごうど よしひさ)
1962年島根県出身。京都大学農学研究科農林経済学博士後期課程中退。滋賀県立短期大学助手などを経て、現職。2006年に出版した著作『日本の食と農』(NTT出版)で、第28回サントリー学芸賞(政治・経済部門)ならびに第7回日経BP・BizTech図書賞を受賞する。
Posted by 編集部 11:30

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