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提言 | 視点

その技術が求められる前に | 農業経営者 2月号 |  (2008/02/01)

【早稲田大学 国際教養学部 教授 池田清彦】
視点 世間一般に限らず、農業界でもGM(遺伝子組み換え)作物は危険という風潮が根強いと聞く。しかし、ごく当たり前の考え方をする生物学者からすれば、GM作物が特別に危険な存在であるとは思えない。純粋な自然交配によっても危険な品種ができないとも限らない。

反対にGM作物は遺伝子の配列がわかっている上に、検査を通してどのくらいの毒を持っているかもすでに明らかになっている。どちらが危険であるかなど、一概には言い切れない。そもそも排泄機能がなく、老廃物がたまる構造の植物は、程度の差こそあれ、本来毒性を有している。手つかずの自然で育てられた作物は安全で、そうでないものは危険という発想を改める必要がある。

医療分野では評価される一方で



今後地球の環境が変わって、これまで存在した作物が作れなくなる可能性があり、現実に品種の数は減りつつある。その時、遺伝子組み換え技術によって作物を大きくしたり、収量を増やすことができれば、地球上で助かる人が増えると考えることがどうしてできないだろうか。

GM作物が非難されるのは、神の摂理に反しているとか、多国籍企業が採用して収益を稼いでいるのが不愉快だとか、主に感情論に基づいた理由が挙げられる。しかし、その忌み嫌われている遺伝子組み換え技術も、医療分野では高く評価されている。それはある種の疾病に対し、人命を救う唯一の手段として用いられているからだ。食物が潤沢にある今でこそ、GM作物は低評価だが、食物が足りなくなれば、人は何も言わずに食べるだろう。最近、サバにマグロを生ませる研究が進んでいるが、マグロの漁獲高が減少しているせいか、大反対運動は起きていない。人間の文化や伝統なんて、状況次第ですぐ変わりうるものなのだ。

プラスのイメージ作りを



もっとも、世間一般に定着した「GM=悪」のイメージを覆すことは困難が伴う。少しでもポジティブな印象を与えるにはどうすればいいか。イメージが一変したものの例としては赤ワインがある。かつてほとんど売れなかった赤ワインは、ポリフェノール成分が心臓にいいという情報が伝わった途端、バカ売れした。GM作物も殺虫効果や除草剤耐性といった農業経営上のメリットだけではなく、健康という消費者にとってのメリットもアピールできるようになれば、イメージも一変するだろう。

若い農業経営者は頭を鍛え、消費者に正しい知識を説明できる準備をしてほしい。自分が安全と思えるか半信半疑かで、取り組み方に差が出てくる。意気込みやプライドを持つことは、商売をする上で何より大事なことでもある。
(まとめ 鈴木工)
池田清彦(いけだ きよひこ)
1947年東京生まれ。東京教育大学理学部卒業、東京都立大学大学院生物学専攻博士課程修了。山梨大学教育人間科学部教授を経て、現職。構造主義生物学の見地から、多彩な評論活動を行なう。近著に『ゼフィルスの卵』(東京書籍)、『正しく生きるとはどういうことか』(新潮社)など。
Posted by 編集部 11:30

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