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編集長コラム

足りる ということ | 農業経営者 9月号 |  (2008/09/01)

【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -profile
僕にとって関祐二氏は、本誌創刊の同志というべき人物である。農業と農場経営そして「土」を考える上での基本認識を共有してきた。それは「過剰」である。本誌は過剰の中での生産と農業経営をテーマとしてきた。さらに、日本の農地と農業の現在が、過剰の中の栄養失調ともいえる糖尿病状態にあり、それを経営者が自覚し、健康を取り戻すことへの手伝いを本誌の使命と考えてきた。「指導者」や「権威ある者」から答えだけを教えられることに従ってきた農民が、自らの存在を問い直し、科学的に、そして自然と作物とマーケットを素直に見つめ、考える農業経営者になる過程で実現されると思ってきた。それゆえに、本誌では「答え」を教えるのではなく「考え方」のヒントを提供しようとしてきた。

僕と関氏がそう考えるようになったのは、今から約20年前、牛久市の高松求氏の圃場を土壌調査した体験からである。

同氏の圃場の土における有効態リン酸は、作土層(037b)の部分で3.78m/100g(リン酸吸収係数2520)、その下の3747bの位置で2.67m(同2600)、第三層の47b以下では有効態リン酸0m(同3010)だった。

自らの茶園の土壌分析から始まり各地の土の土壌分析をして、リン酸過剰の畑を見続けてきた関氏も、高松氏の畑の有効態リン酸の少なさに驚いた。ただし、37bという作土の深さとともに、pH6.6、CEC26.2、交換性塩基(m/100g)で石灰が362、苦土49.5、カリ54.6、ナトリウム3.37、塩基飽和度66%、腐食5.8%と、理想的なバランスになっていた。

当時、リン酸過剰を指摘する農業指導者はほとんどいなかった。そんな中でリン酸過剰の無駄を指摘していた関氏も、常識的理解ではリン酸欠乏でありながら素晴らしい作柄を得ている高松氏に驚かされた。

土壌分析すらしたことがないと言っていた高松氏は笑って答えた。

「昔、普及員にリン酸の大量投入を勧められ、自分でも小さな面積で試験的にはやってみました。でも、幾つかの比較対象の場所を設けて、一番効果が上がったのは堆肥に過リン酸石灰を混ぜたぼかし肥を使うことでした。松も生えなかった痩せ地の女化ですが、そんな金のかかる農業はできない。それで考えた当時の農民の経験的知恵ですよ」。続けて「 足りる ということの意味を知るべきです。 足りればよい のです。足りるというのは 十分 とは違う。私はケチだからね」と笑った。

高松氏の経営では、この 足りる あるいは 過不足がない という考え方が施肥だけでなく経営のすべてに当てはまっていた。思いっきり未来へチャレンジをしながら。

その後、ほかの農家の土壌の様子も観察していくと、かつて高松氏とともにリン酸堆肥を使っていた農家の畑も過剰施肥の結果として様々な障害を発生させていることに気付いた。普及所や農協の「指導」がそれをもたらしたのだ。

凡人である我われは、土壌分析による科学的に知りえる情報を元に、リン酸、カリをゼロベースで始める施肥を考えてみたらどうか。肥料価格の高騰は避けられない。それをぼやくより、むしろこれをきっかけに肥料コストの低減を実現するきっかけにすべきだ。また、知識の上ではわかっていても「体が肥料を振ってしまう」というあなたも、今回こそは悪癖を吹っ切るチャンスとしたらどうであろうか。
Posted by 編集部 08:30

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