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時流 | 食料自給率向上の罠

2015年食料自給率40%→45% 実現シナリオに漂う脱力感と空恐ろしさ | 農業経営者 12月号 |  (2008/12/01)

10月6日、2015年に自給率45%の実現を目指す農水省の国民運動がスタートした。フェンシングの太田雄貴選手らを応援団員に任命し、運動を盛り上げるという。彼らが45%に潜む根拠の薄っぺらさを知ったら驚愕するだろう。そして、自給率向上政策が農業者に経営被害をもたらしていることを知ったとしたら……。

自給率向上運動、電通に丸投げ


「まさか国際競争力がこんなにあるとは知りませんでした。なのに保護者を装って『あんたたちは弱い産業だから』と云わんばかりのバラマキ政策と農業者のプライドを無視した情報操作に腹が立ちました」 前号を読んだ愛知県の農業法人幹部からの投稿だ。

日本農業は強い! 読者諸氏をはじめとした志ある日本農場は成長している。そして、もっと強くなれる。食べる人のためにもっと発展できる! その実現に向けて、具体的な方法や考え方を示すことが、本誌の創刊目的であり編集方針でもある。

農水省が主導する自給率思想の最悪なのが、「日本農業は弱い! 日本農場は衰退している!」という誤った前提を旗印にしていることだ。しかも、税金から70億円もの自給率広報予算を捻出し、芸能人やオリンピック選手まで担ぎ出して、「国民の皆さん、このままでは食べられなくなるよ」といった危機感を煽るメッセージを連呼する。

「食料の6割を外国から輸入している日本人の食生活の見直しが求められております……低い自給率のままでは……食料供給に支障が出る可能性が非常に高いと懸念されているのです。将来の子供のためにも、すべての国民の方々が問題意識を共有し、食とのかかわりを見直していただく……2015年には日本の食料自給率を45%までアップさせることを目指しています」

こう息巻いて10月に立ち上がった、「食料自給率向上に向けた国民運動推進本部」のパフォーマンスだ。本部は広告代理店最大手の電通内。大層なのは国民運動という名だけで、ただの丸投げだ。

農業者のプライドなど考えたこともないのだろう。農水役人に加えて、今度は電通社員から、「お前ら農業者が無能だから、国民を食わせられない。農水からたっぷり予算はもらった俺たちが一肌脱いで、自給率の上げ方を教えてやろう」と言われているに等しい。肝心の中身はといえば、著名人を雇った国民広報部会を年1〜4回、財界や学識者を担ぎ出す食料自給率向上委員会を年1、2回開催予定開催する。実質それだけだ。目的は税金を使って、年に数回呼ばれる芸能人や御用学者の小遣い稼ぎの機会の提供か? いやもちろん、農水から電通への売上貢献が一番の目的だろうが。それ以外に、生産者が自給率向上運動に主体的に参加するための、顕彰事業制度を検討する部会を年に数回行なうという。農業経営者は顕彰されないと生産をしないとでもいうのか。

それ以上に気になるのが、国民運動が目指す「2015年の自給率目標45%」なる数字の所以だ(麻生首相は所信表明演説で、50%を目指すと明言)。これは前回、紹介した「農業・農村基本計画」に明記されている。閣議決定され、農水省の最優先政策事項となっており、マスコミでもよく登場する数字だ。さぞかし日本農業の生産力や競争力を高める実践的な計画が書かれていると期待したら、大間違いである。計画が謳う03年40%→15年45%を実現する根拠は、こうだ。

要約すると、「国民が食べる輸入肉や輸入小麦が大きく減り、代わりに国産大豆や野菜、乳製品をとる量が増え、食品廃棄ロスが1割ぐらい減る見込みである。だたし、国産小麦や国産飼料で育つ肉の消費量は変わらない。以上」。農業生産の増産とも、農水が危機を煽る安全保障上の自給概念とも、何ら関係ない。10数年後の消費者嗜好を誰がどうやって勝手に決めたかはさておき、話を進める。

(以下つづく)

浅川芳裕blog
※記事全文は農業経営者12月号で
Posted by 編集部 | 12:29 | この記事のURL | コメント(44) | トラックバック(0)
時流 | 食料自給率向上の罠

欧米農業強国を抜き去った?!ニッポン食料自給率(金額ベース)の虚構 | 農業経営者 11月号 |  (2008/11/01)

自民党総裁選で5人の候補者が一様に向上を訴えたカロリーベースの食料自給率。その計算のインチキ加減を前号特集(10月号24〜26頁)で例証した。政府が国策として向上目標を定めるもうひとつの自給率がある。金額ベースだ。今回、その虚構性を証明する。

自給率に貢献できない罪悪感


前号の「インチキ食料自給率に騙されるな!」で、カロリーベースの自給率計算式そのものの無効性とその向上政策の有害性を例証した。

ある読者から「おかげで悩みが解消されました」と予期せぬ反応が寄せられた。

「作っているのは燃料を大量に消費して、カロリーが低い農産物。食料がたいへんな状況になりそうなのに、自分は自給率にぜんぜん貢献していないんじゃないかと……」。

彼はお客様にいいモノを届けたいと一生懸命な若手経営者である。そんな彼に、無用な罪悪感を起こさせるような暗く陰湿な政策など、さっさと止めてもらいたい。

別の方からはこんなご意見をいただいた。

「他の先進国の海外依存もこんなに高かったのか。金額ベースで日本は約7割も自給率があると知って自信がもてた。農水省は国際競争力の指標になる金額ベースを全面に出すべきだ」

ごもっともだと思い、取材してみた。結論は上の表1である。驚くことなかれ! 日本の金額ベース自給率は主要国のなかで、すでにNo.1である。国は2015年の目標として現在の66%から76%までの向上を掲げるが、世界でぶっちぎりNo.1を目指しているということか? 否、金額ベースの指標にもカロリーベースと同様、農水省の巧妙な罠が仕掛けてあったのだ。罠に気付いた経緯を説明しよう。

日本と海外の金額ベース自給率を比較しようと農水省のホームページで調べてみた。いくら探しても出てこない。省自給率担当に尋ねたところ、「計算したことがない。海外は正確なデータもないし。今後調べるつもりがあるかどうかも、回答できない」とわざわざ念を押す。これは怪しすぎる。

カロリーベースの場合、「主要国で最低水準」と日本の低さを強調するために、さんざん比較していた海外の自給率。膨大な計算を要する主要10カ国のカロリーベース自給率を昭和36年分から公開しておいて、単純に出せる金額ベースの計算をしていないはずがない。

(以下つづく)

浅川芳裕blog
※記事全文は農業経営者11月号で
Posted by 編集部 | 12:29 | この記事のURL | コメント(252) | トラックバック(0)
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