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編集長コラム

日本の野菜はソウルやパースよりも安いという“自信” | 農業経営者 12月号 |  (2002/12/01)

【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -profile
10、11月、読者とともに西豪州と韓国を旅した。本誌主催のツアーは、農家だけでなく機械メーカーや食品メーカー、流通 ・外食関係者など、異業種の人々が一緒に旅することを原則にしている。目線の揃う異質な人々の出会いを狙ってのことだ。また、同じ農業経営者でも、作目や経営内容、世代や地域によってその視点や知識は驚くほど違う。優れた職業人や生活者であればこそ互いが現実的な解説者となり、異業種の視点によって触発される。そして、異質な風土や文化や人々に触れながら自らを見詰めることも旅の効用である。

“Made in Japan から Made by Japanese へ”のコンセプトによる農業投資を目的とした西豪州、展示会での“買い付け”と“日韓農業経営者交流”をテーマにした韓国への旅であったが、そのどちらでも参加した農業経営者たちに強く印象を与えたのは、思い込みとは異なる現地の野菜小売価格の高さ(日本の安さ)である。 食文化が異なり、比較的高い店として案内されたパースの食品スーパーはともかくも、品種こそ違うものの、野菜の種類としては日本とほとんど変わりない韓国(ソウル)のスーパーで売られている野菜の値段に皆が驚かされた。
果実関係はともかく、野菜類ではサツマイモやバレイショは皮剥けで傷だらけで土も付いたまま。パッケージにもお金や手間がかかっていない。パックされたレタス等を含めて「日本ならこれはハネ物だよね」というつぶやきが参加者の口から漏れた。

もっと安いディスカウンターもあるにはあるが、それは韓国農協中央会の子会社が運営するハナロクラブでのことである。農協スーパーとも言えるハナロクラブは国産農産物だけを扱い、しかも流通 をカットしている分、他の店より安く、外資系のスーパーを含め青果部門ではソウルで最高の売上を誇るという。

“日本は物価(とりわけ農産物価格)が高い”という常識はもう成り立ってはいない。日本のデフレはそこまで来ているのだ。ウォンのレートも1円が約10ウォンというレベルは特別 に変動しているわけでもない。

そして、やがて読者たちは気が付いた。日本は農業資材コストも人件費も物流費も格段に高く、様々に困難は存在する。にもかかわらず、日本農業はそれに耐えているという事実を。

輸入圧力どころか、我々の持つ商品品質や“日本”とブランド力を活かせば輸出だって出来るのではと思えてくる。今、韓国では「2000ウォン(=200円)ショップ」というものが流行している。「100円ショップ」である。しかも、売られているものは日本経由の中国製。肝心なのは日本ブランドの商品(日本語の表記がある)であることなのだ。そこでは日本の倍の値段で店を構え、人々の人気を博しているのだ。韓国人は言われたくないかもしれないが、現実の韓国の消費者は日本をブランドとして評価している。だとしたら、可能性としては日本の農産物を韓国に輸出することだって充分に考えられる。つい一、二年前に、韓国の農産物輸入にセーフガードの発令を騒ぎ立てた日本なのに…。

本誌が敢えて語る海外生産など農業経営の一つの可能性に過ぎないのである。むしろ、我々が問題にすべきは日本の農業界や農家に巣食うヌクヌクとした安楽椅子に座ったままの敗北主義、被害者意識あるいは精神の怠惰なのである。自らの持つ能力や可能性、日本ばかりではない人々にとっての魅力ある存在としての日本農業。否、日本農業などと大上段に語る必要など無い。貴方自身の商品、あるいは農業や経営が顧客たる消費者にとっていかに魅了的であり、必要とされるかだけが問題なのだ。そして、顧客にとって魅力的であることとは何か? 自らの弱さを先に考えるのではなく、居場所つくりに汲々とするのでもなく、自分を見つめることの中から現代の消費者、それも自分がこの人こそをお客さんにしようと考える対象にとって、自らの魅力とは何であるかを考えてみよう。我々が考えるべきことは、間違っても農業(供給者)の側から“地産地消”などと説教を垂れて自分たちを押し付けることなどではないのだ。
Posted by 編集部 08:30

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