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提言 | 視点

農業は「反自然的」と堂々と語れ | 農業経営者 8月号 |  (2004/08/01)

【国際連合大学副学長 安井 至】
view0408.jpg 地球の歴史を長期的に眺めるならば、ホモサピエンスとは、せいぜい十数万年前、つまりごく最近になって現われた「新参者」にすぎない。したがって私たちが食べているものは基本的に、人間がのさばる以前から地球に存在した生物であり、神が与えてくれたものでも、人間のために特別に作られたものでもない。

食物にリスクはつきもの



現代人は、自分たちが他の生命を食べて生きていることを都合よく忘れている。作物や家畜の場合、品種改良などの努力も重ねられてきたが、生き物である以上、完全に無害であるとは限らない。例えば植物は昆虫などから身を守るため、体内に毒物を準備している。食べる側にとって多少のリスクがあるのは当然で、食物にパーフェクトな安全性を求めるのは、人間の思い上がりである。
また、安全と安心はまったく異なる概念であり、安心は詰まるところ、悟りの中からしか生まれない。
BSEや無登録農薬の問題を振り返れば分かるように、世間に最も不安感を与えるのは、BSEや農薬そのものというよりは、それらを巡る違法行為であり、不正行為である。だから、農薬については、法律を順守し、適正な範囲内で使うのが大前提で、100人中1人でもルールを破れば、農業全体の信頼性が失われることを農業者には強く意識してほしい。

ただ、安全・安心論議の本質論は別のところにある。農業は、人間が効率よく食物を手に入れるために始めた一種の環境破壊である。広大な面積で単一の作物を育てようというのは、本来自然に逆らった行為だが、それでも農業には作物を生産し、都市に食物を供給する使命があり、かつ経済活動としても設計されてなくてはならない。

そのためにはやはり最小限の農薬が必要だし、虫食いや傷のない野菜にニーズがあるのなら、農薬のリスクを招いているのは消費者自身だとも言える。

農薬を「魔女」にするな



無農薬栽培のように、環境への配慮を訴え、作物の付加価値を高めて売る方法も1つの方向性としては認められるだろう。しかし、農薬の“危険性”をアピールし、あたかも「魔女」のように扱うことで無農薬野菜の優位性を主張するのであれば、少々ずるいやり方だと思う。

私はむしろ、食べ物が他の生命の一部であること、そして農業が反自然的な営みであることを、農業経営者にもっと堂々と主張してほしいと期待している。農業の本質を徹底的に開示し、議論すれば、消費者もリスクと折り合いをつけなければならないことが理解できる。

人間は食べなければ死ぬという現実こそ、最も切実な問題であり、生産者、消費者双方は自ずと真実に向かって歩み寄れるはずだ。
(インタビュー・まとめ 秋山基)
安井 至(やすい いたる)
1945年東京生まれ。東大工学部卒。東大生産技術研究所教授を経て現職。工学博士。専門は環境材料科学、材料設計法、環境総合指標。著書に「市民のための環境学入門」「環境と健康―誤解・常識・非常識」などがあるほか、ホームページ「市民のための環境学ガイド」(http://www.yasuienv.net/)を運営。
Posted by 編集部 11:30

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