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特集

GAPで実現!顧客から信頼される農場管理 | 農業経営者 6月号 | (2006/06/01)

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農業経営のなかで生産者が最も不得手とするのがお客とのコミュニケーションだ。顧客が最低限期待する農産物の安全性についてさえ、的確に説明する術を持っていない。振り返ってみると、食の不安が高まるたびに、信頼の証として有機JASや特別栽培農産物がもてはやされ、農薬使用履歴の記帳運動が叫ばれてきた。しかし、よく考えてみると本当にそれで安全性を“確保”したといえるのか。

そこでGAP(ギャップ、Good Agricultural Practice=良い農業のやり方)の登場である。作る人、売る人、買う人の誰もが信頼できる農場管理の基準として、すでに世界70カ国で採用されている。でもGAPってなに? この際、あれこれ考えるより、この特集をよく読んで世界が認める基準を自分の農場で実現してしまおう。

GAPってなんだ?



農業経営者の仕事に対して、消費者や流通業者が最低限期待する役割とは何か? 答えは”農場のリスク管理“である。リスク管理といっても、何も難しい話ではない。「何も心配せずに口にできる農産物を食べたいという顧客の当たり前の欲求」に応えられる生産を実践できているかどうかの問題だ。

全国の農場で使える管理基準

「自分の農場は実践できている」と個々の農家がバラバラの基準でお客に安全性を説明しても理解は得られない。全国の農場で共通して適用できる農業生産の管理手法が必要になる。そこで生まれたのがGAPという考え方だ。

GAPは、Good Agricultural Practiceの頭文字をとったもので、直訳すると「いい農業のやり方」となる。一般に”適正農業規範“と訳されている。農産物生産の各段階で食品危害を最小化するために、生産者が守るべき管理基準のことだ。

その中身は、農産物の安全の確保だけではない。作る人・売る人・食べる人の共通利害である”持続可能な農業生産“を目指し、「環境への配慮」や「働く人の安全と福祉」の視点からも、適切な農場管理とは何かを定義している。GAPの目的を経営者の立場から要約すると、農業のトータルな危機管理術と言えるだろう。

このようなGAPの考え方は、EUで最も普及している。ユーレップ(欧州小売協会)GAPと呼ばれる民間主導の基準で、いまや量販店などに出荷する農産物についてはGAP認証が生産農場の必須要件となっている。その結果、EU内の生産者だけでなくEUへ輸出する世界中の生産者が認証を取得しており、ユーレップGAPは事実上GAPの世界標準となっている。

世界に通じる日本版GAP

日本でもGAP導入の動きが活発化している。なかでも、農業経営者が自発的に組織した日本GAP協会は、ユーレップGAPと同等の基準を作り、世界に通じる日本版GAP(=JGAP)の実践方法の確立と普及を目指している。詳しくは21ページからの「JGAP取得の手順とノウハウ」をご覧いただきたい。

JGAPといっても何か特別なことを始めるわけではない。管理の行き届いた生産者にとって、「当たり前のことをキチンとやる」ことに過ぎない。肝心なのはむしろ、JGAPは近い将来、流通業者や消費者から信頼されるための全国共通の証明書になる可能性が高いということだ。

理由は簡単だ。流通商品として農産物を生産するのであれば、食品の安全性の証明手段がこれから必須条件になる。それを誰にも理解できる形で証明できるリスク管理基準を持っているのは、日本では今のところ、JGAPしかないからだ。

日本で普及しないとどうなる!?

もう一つの理由は外的要因である。

GAPへの取り組みは先述のとおり世界で広がっている。GAP認証農産物が世界から日本に押し寄せてきたらどうなるか?「世界の安全基準を満たす中国生産者vs国産信仰に頼るしかない日本生産者の対決」になるに違いない。全く逆のシナリオもある。「GAP認証農場の優良農産物が欧米に集中し、認証されていない農産物がわが国に集中する」ことだ。これは防ごうにも日本にGAPという基準が普及していなければどうしようもない。そう、JGAPの強みは計り知れないのだ。

とはいえ現在、GAPを知っている流通業者や消費者はほんのわずかだろう。今、JGAPを受けてすぐにメリットがあるのか? 否、メリット云々の話ではない。

これは農業経営者が自ら、信頼の農産物流通を作り上げていくかどうかの選択である。

【解説】GAPの理解を深めるために
リスクってそもそも何?農場で起こりえるリスクとは?
リスクとは、「食品のなかに危害要因があった場合、人間に悪影響を及ぼす程度と、それが起きる確率を掛けたものと定義される。その種類は、1 生物的危害(病原微生物や自然毒など) 2 化学的危害(残留農薬やカドミウムなどの重金属) 3 物理的危害(石やガラス髪の毛、昆虫などの異物混入)に分類される。GAPは3つのリスクをすべてカバーする管理点と適合基準を持つ。
GAPはトレーサビリティーとどこが違うか?
トレーサビリティーはそもそも、安全性確保の仕組みではない。消費者が手にした農産物がどの農場でどんな作り方をされたのかを遡れることに過ぎない。GAPが目的としているのは、識別された農産物商品そのものの安全性をどうやって保証するのかの基準と実践方法である。
GAPは有機や特別栽培農産物とどこが違うか?
両方とも管理の対象が化学物質の投与のみに限られている。有機農産物は基本的に化学農薬や化学肥料を使わないで栽培されたもの。特別栽培は単に、都道府県が示したその地域の慣行栽培の半分以下に抑えることだけが要求されている。リスク管理が目的ではなく、農産物を販売する際の法的な“表示”基準として定められたもの。また、GAPと違い、生物的および物理的リスクについて配慮することが求められていない。

世界のGAP動向



事実上GAPの世界標準となっているユーレップGAP。その基準が構築された背景と理念について、最高責任者クリスチャン・ムーラー博士が語る。(4月27日開催のGAP全国会議での講演から。一部、追加取材をもとに再構成)(以下つづく)

日本のGAP取得事例1
GAPは国際競争に生き残るための「最低限の装備」



【片山りんご有限会社 片山寿伸 (青森県弘前市)】
GAP自体は「農家が農場内で守る決まり」に過ぎない。しかし、私はGAPを取得することは今後、日本の農家が日本国内に限らず海外においても、否応なしに対決を迫られるだろう外国産農産物との競争に生き残るための「最低限の装備」だと思っている。

私がユーレップGAPという言葉を初めて聞いたのは2002年7月だった。リンゴを輸出している英国の商社から「ユーレップGAPの審査を受け”必須項目“をすべてクリアできなければ、05年1月以降あなたの商品を買いません」と言われた。(以下つづく)
片山寿伸
1960年青森県弘前市生まれ。東北大学で西洋哲学を専攻後、リンゴ出荷業を営む父のもとで働くようになる。その後、リンゴ栽培もスタートさせ、経営面積は13ha。99年よりイギリスへ、04年より中国へのリンゴ輸出を開始。グループ生産者46名と「岩木山りんご生産出荷組合」を組織化し、商社を介さない直接貿易による輸出拡大を目指している。今年4月まで日本GAP協会会長、現在は理事。

日本のGAP取得事例2
GAPは消費者と生産現場の橋渡し役



【農事組合法人和郷園 生産委員長 佐藤正史】
和郷園は、代表の木内博一が生協やスーパーとの産直を拡大し、地元の同年代のメンバーと共同で出荷業務を行うため、1998年に設立した。その翌年、「残留農薬事故」が起きる。農産物から生協の指定する ”最優先排除農薬“が検出されたというものだった。実際には分子構造が類似した別農薬であったが、原因がはっきりするまでの一ヶ月、全品目が取引停止となった。(以下つづく)
佐藤正史
1968年生まれ。石油会社勤務を経て、実家の農業に従事。99年より農事組合法人和郷園に参加。2002年より現職。組合員の生産者に対するGAPの普及も担当する。04年9月に組合員の「さかき小見川農場」(木内克則代表)で野菜生産農場として日本最初のユーレップGAPを取得した。和郷園は千葉県東北部8市町にまたがる、20代、30代の後継者が中心メンバーの産直組織。

日本のGAP取得事例3
GAPは食の不安を積極的に取り除くシステム



【農業生産法人(有)新福青果 代表取締役 新福秀秋】
脱サラ農業を始めて以来、私はずっと悩みがあった。「自分たちが作ったものを消費者は本当に喜んでくれているのか?」、「義理で買ってもらっているのでは?」などだ。そこで、消費者に生産情報をタイムリーに公開し、消費者が感じている不安を積極的に取り除いていくことにした。消費者との情報の共有化は、経営にも役立つはずだと思った。

消費者の反応に対し自信がもてない農業、つまり「ハラハラ」、「ドキドキ」ではつまらない。「感動」と「ワクワク」が農業にもあるはずだ。GAPやトレーサビリティシステムはそれを実現させてくれるシステムだと思っている。(以下つづく)
新福秀秋
1952年生まれ。高校卒業後、サラリーマン生活を経て、実家の農業を継ぐ。サトイモ、ゴボウを中心に生協への産直、周辺農家からの集荷事業にも乗り出す。87年に法人化、95年に農業生産法人に組織改定。直営農場と契約栽培で多品目を生産し、海外輸出も行っている。経営規模は72ha。従業員は約80名。年間売上高約15億円。
※記事全文は農業経営者06月号で
Posted by 編集部 13:30

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