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第29回 親の植えた木を、子が切るとき | 農業経営者 10月号 | (2006/10/01)
モモの直販、新規就農者の支援、大手量販店との契約、社債の発行など、次々と斬新な活動を手がけるピーチ専科ヤマシタの山下一公氏。そのベースは、就農当初から一貫している。それは、農業で食べていくと決めた以上は農業に徹するという強烈なプロ意識、そして農協に依存することなく、顧客のニーズを意識して作物を生産するというマーケットに対する戦略である。この志は同じく自立的な農業を目指して昭和を生き抜いてきた父の血なのかもしれない。昭和から平成へと父と子が受け継いできた自立的な農業の一つのあり方を見つめてみたい。
どんな世界であれ、世代交代には、常になんらかの決断を伴う。世代が変わるとは、時代が変わることであり、その時代の変化に対応できるかどうかが世代交代がうまくいくかどうかの鍵になる。
現在、(有)ピーチ専科ヤマシタの社長として、ユニークな手法でモモの生産・販売を手がけている山下一公氏だが、約20年前、先代の父、博光氏(77歳)から農園を引き継ぐことを決めたとき、そこには一つの決心があった。それは父が育ててきた1.3haの農園の半分を占めていたブドウの木を切るという英断だった。
父の育ててきた木を子供が切る。それは一見、新しい父と子の考え方の違いを象徴するようなできごとのように映る。収入源であるブドウは一公氏がすべて伐採。先行きを心配する博光氏は、それを見て「ああ、 煙草銭もなくなってしまうなあ」と思ったという。
自らが手をかけて育ててきたブドウの木を切ろうという気にはなれなれない。しかし、その葛藤が親子げんかに発展するようなことはない。二代にわたる農業への取り組み方を見ていくと、そこにはいや応なく受け継がれている自立した農業へのこだわりが見てとれる。














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