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農業技術 | 乾田直播による水田経営革新

Vol.13 ウルグアイのコメ生産者を訪ねて | 農業経営者3月号 | (2007/03/01)

【コメ産業コンサルタント 田牧一郎 -profile

雑草対策としての乾田直播栽培



以前までカリフォルニアの水田では、すべての面積でイネ刈り後のわらを燃やしていたが、現在は公害対策のために禁止されるようになった。特例として病気の発生が認められた水田に限り、わら焼きが認められているが、原則的には梱包して圃場外に出す、あるいは鋤きこむ対策をとっている。

これを繰り返してきたため、水田雑草の処理に苦労するようになってしまった。農薬使用の規制も強くなり、使用できる除草剤の種類が以前より少なくなっているのも原因ではあるが、除草剤を使用しても残る雑草が出てきたのである。
この対策としてドリル播種(乾田直播)栽培が有効な手段であると考えられたため、継続して研究が続けられているわけである。

こうした研究本来の目的とは違ったところで、日本品種の低コスト多収穫栽培が体系的に作り上げられる可能性があるため、研究の推移を見守っている。カリフォルニアでも既に何人かの生産者が、乾田直播による栽培に取り組んでおり、それぞれ実体験から学びながら成果を出している。

ウルグアイに眠るマーケット拡大の可能性



いくつかの目的があり、久しぶりにウルグアイを訪問した。長粒種を主に栽培している、大西洋から少し内陸に入った農場を見せてもらった。農場とともにいくつかの関連施設、そしてイネの試験場も訪問することができたのは幸いだった。これらの訪問と見学から多くのことを学び、現状の理解を深めることができた。

私は南米の南緯35度をはさんだ地域での、高品質短粒種の栽培可能性が大きいことに注目している。そして市場もそれを待っていると感じる。高品質短粒種のマーケットは拡大しつつあるが、販売価格がネックとなり、その拡大スピードは遅い。高品質をうたいながら実際はあまり良くないのも事実である。低コストで生産すること、そして絶対的な品質を向上させることが、拡大するマーケットに対応する方法である。

試行錯誤が続くウルグアイの乾田直播



ブラジルからウルグアイに移って40年の、経験豊富な生産者を訪問した。約600haもの面積でコメをつくっているという。

彼は作付け前に大手精米会社とモミの売買契約を結び、収穫したモミはすべて契約先が所有する乾燥所に運んでいる。長粒種をドリル播きする方法で栽培しており、今年から不耕起乾田直播にも挑戦しているそうだ。従来の播種方法との差はまだはっきりとは見えないが、作業スケジュールが調整しやすいため、不耕起乾田直播も継続していくとのことである。

通常の乾田直播の作業体系は、次の通りである。ディスクプラウで耕起及び砕土を行ない、播種機で肥料と種子を播いていく。播種深度については、経験から早期は約1cmと浅めに、気温の上がる時期には約2cm程度の深さに播くとのことである。

砕土の細かさに対する質問には、一瞬答えに詰まったが、適度な大きさとの返事であった。土中の水分がしっかり種子に伝わるような細かさ、というのが彼の経験から導き出された目安であった。

播種作業は、ジョンディアの穀物播種機をトラクタでけん引して行なっている。写真の農機は、ディスクプラウをかけた後に用いる砕土用の機械である。ヨーロッパからの輸入品であり、爪の後にあるかごの部分が土を非常に細かく、そして平らにしてくれるという。

圃場には、きれいに揃った生育中のイネが見えた。そして一部の失敗圃場も見せてくれた。発芽の不揃いから、一部のみ発芽苗立ちが進み、その後のフラッシングによって遅れて発芽したものが短く見える。「刈り取り時の判断が難しいな」と、半分照れながら語ってくれた。

作業効率の向上とレベリング必要性



ウルグアイでは等高線に畦を作り、水を溜めて水田にしている。傾斜の状態によって畦の間隔が変わるため、機械の作業効率が大変悪い。作業機も身近にないことから、レベリングはほとんど行なわれていない。このため、圃場のあちこちにスコップで溝を作り、排水に努力している様子もうかがえた。できればレベリングを行ない、直線の畦で仕切るのが良いと思う。スガノ農機が推奨しているレベリング手法が、すぐに役立つ場所であると感じた。

現在は10aあたり18kgの長粒種の種子を播いており、発芽して苗が揃ったら水を入れる。元肥は播種と同時にNPK化成肥料の施肥、時機を見て尿素の追肥を行なっている。乾燥モミでの10aあたり収量は約700kg、玄米換算で560kgと決して高収量とは言えないが、満足できる成果とのことである。播種量の多さに驚かされるが、降雨による発芽を期待するため、多く播くことで苗立ち数を確保する考え方である。

大潟村矢久保農場の06年産玄米千粒重が、実際の計測の結果、23.3gであったことがわかった。収穫完了前の推定で、約21gであろうと11月号の文中に書いたが、実際は私の予想以上に重くなっていた。登熟後半の水不足が千粒重を軽くするかもしれないと考えた私の予測は間違っていた。

表面的には雨がなく、田面も乾き登熟期の水分不足と思われたが、実際は土の中にある根が強く長く張っていたのだろう。深いところからも水を吸い上げていたことが、実を重く育てたと考えられる。乾田直播のイネの実力を見せつけられた思いである。秋の乾燥気候にも強いことを証明してくれた出来事であった。
Posted by 編集部 10:29

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