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提言 | 視点

生み出して、そして乗り越えて | 農業経営者 7月号 |  (2008/07/01)

【アキレス(株) シューズ事業部 シューズ商品企画開発部 部長 津端裕】
視点
近年、子供靴市場は少子化の影響を受けて縮小の傾向にある。その一方で海外からの輸入品が増えて供給は過剰になり、それに伴い値段が下落している。この厳しい情勢の中、2003年に当社が発売した『瞬足』は、累計で1000万足を販売し、小学生の3人に1人が履くほどのヒット商品になった。最大の特徴は、トラックのコーナーでも地面をしっかり蹴って速く走れるように、シューズの底面が左右非対称に設計されていること。平均体力が落ちて満足に走れない子供が目立つ中で、速く走れる能力は私たちの子供の頃以上に、クラスの人気者になるための要素になっている。「足が速くなりたい!」という、昔から変わることのない欲求に応えたことで、男の子からの絶大な支持を集めた。

観察が生んだアイデア


瞬足の発売以前は当社のジュニアシューズの売上が落ち込んで、頭を悩ませていた。しかし、それでも学校行事でどんな靴が人気なのかを調べる定点観測は怠らず、次第に「小学生が運動会で速く走れる靴を作ろう」というコンセプトが育まれていった。社内会議でゴーサインが出されると、機能やデザインはすぐにまとまった。デザイナーは若い人材を起用し、アッパー(甲の部分)のゴテゴテした装飾を排除。今までの子供靴にはないスッキリしたデザインに変えるなどイメージを一変させた。

社内に反対意見がなかったわけではない。直前に発売していた防水シューズも好評だったため、「そんな斬新すぎる靴を作らなくてもいいではないか」という見方もあった。しかし、小さい差別化では売り場で“点”は確保できても“面”にはならない。「スピードを実感した子供はきっと喜ぶはずだ」という確信だけを頼りに、開発を進めていった。機能とターゲットをがっちり押さえたことが、今の成功につながっているのだろう。

改良を重ねて究極を目指す


瞬足登場以後、競合他社は直線で速く走れる靴をメーンに製作しているが、これからも当社は「コーナリング」をキーワードに、瞬足のバリエーションを増やしていく。同じ土俵で勝負するとコスト勝負になって、最後はバイヤーが廉価の商品を選ぶことは経験上知っている。しかし、私たちは価格ではなく、差別化された機能を子供たちに訴えていきたい。

今では様々な改良を加えていて、衝撃吸収のためエアコントロールシステムを搭載したり、カーブ時に体を預けやすいよう底部に縦の溝を刻んだりするなど、多くの工夫を凝らしている。「子供靴なのに、そこまでやる?」と言われるまで機能を追求する。自分たちが生み出した商品を自分たち自身が乗り越えることで、新しい歴史を創っていきたい。

(まとめ 鈴木工)

横井裕之(よこい ひろゆき)
1960年新潟県出身。中央大学法学部卒業後、86年アキレス入社。99年より商品企画マーチャンダイザーを営業職を兼ねて務める。瞬足については、2001年より、担当したジュニアスポーツ靴の再構築を依頼された中で、2年後より瞬足を立ち上げる。2007年1月より、現職のシューズ商品企画開発部部長となり、現在に至る。http://www.achilles-shoes.com/
Posted by 編集部 11:30

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