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時流 | 土門「辛」聞

農協が大規模農業者の選別を始めてきた | 農業経営者 4月号 |  (2009/04/01)

【土門 剛 -profile

破産農家を生み出す欠陥“認定農業者制度”



講演先の富山で知人が耳打ちしてくれた、富山県の農業生産法人(有)リーフ(黒部市宇奈月町・滝林純一社長)の破産。原因を調べるうちに、認定農業者制度の欠陥と国の政策に沿った大規模生産者の限界をみた。

まずは社長の滝林さんのプロフィール。富山県稲作経営者協会の前会長にして、日本農業法人協会の会員である。世智に疎い農水省の役人には、ニッポン農業の背骨を担う立派な経営者と映るのだろうが、筆者にすれば、稲経と法人協会メンバーと聞けば、思い出すのが、法人協会最高幹部の、あの一言だ。 「稲経や法人協会のメンバーの8割は赤字スレスレだよ」

それはそれとして、本人に直接原因を確かめるべく連絡を試みるも、電話はすでに取り外されていた。黒部市役所農業水産課にチェックを入れたら、「1月29日のことですが、滝林社長がやってきて、突然、裁判所に破産の手続きをしてきたと告げるだけで、詳しい説明は聞けませんでした。どうして破産に至ったのか、こちらも分かりません」(農政係担当者)という返答が戻ってきた。

滝林さんは、認定農業者でもある。担当者に「この馬鹿者!」と怒鳴りつけてやろうと思ったが、やめてしまった。先刻承知かと思うが、認定農業者制度は、農業者が農業経営改善計画を策定し、市町村がそれを認定し、認定後も計画の実施状況をチェックする義務がある。

しかも計画が達成できないような状況であれば、市町村は、達成状況を的確に把握し、その要因を分析することで、5年ごとの認定更新に際して、新しく提出された計画に実現性があるかどうかをチェックするというようになっている。市役所がその気になれば、リーフの破産を未然に防ぐことも可能なハズだった。

怒鳴ろうと思ったのは、「ちゃんとチェックしていたら、ある日突然ということにはならなかったのではないか」と言いたかったからである。世にも不思議な「認定農業者」制度。最近は農水省でも少しは疑問を抱くようになったと聞くが、末端現場はこの程度と認識すべきである。

気を取り直して、その担当者に、「経営内容をチェックしていたのかい」と問い質すと、その答えが面白い。

「例えば、計画に、農地を○○ha増やしたとか、トラクターを○台整備したとか、それだけをちゃんとチェックしていました」

この担当者を叱責することはできない。国が市町村に認定農業者をチェックせよと命じたのは、次の4項目であるからだ。

1.経営規模の拡大(もっと経営規模を大きくしたい)
2.生産方式の合理化(農業生産のムダを省きたい)
3.経営管理の合理化(コスト管理をしっかりしたい)
4.農業従事の態様の改善(労働時間を少なくしたい)

筆者流に解説を加えれば、「経営規模の拡大」とは、面積の拡大を最優先に、施設・機械類を野放図に整備することを指し、結果として過剰投資を招き、やがて破産に追い込んでいく。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者04月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(131) | トラックバック(0)
時流 | 食料自給率向上の罠

日本の自給率政策のお手本「英国」、
自給率向上を国策にしない根拠を発表 | 農業経営者 3月号 |  (2009/03/01)

英国は国民一人当たりの食料輸入額が日本に比べ2倍以上高い。農水省にとって英国は、過去30年間で自給率を25%向上させた模範国である。にもかかわらず、当の英国は自給率向上を政策にしていない。しかも、国策にしない理由を詳細な分析文書で国民に示している。その中身を解剖する。

自給率向上に代わる農業の成長性指標を探せ———先月号から先進国の事例紹介を開始した。初回は米国の農業戦略に触れ、国家公務員の権限を使って関与できる農業成長政策とその職責によって果たせる目標値について言及した。

今回は英国を取り上げるが、政策や指標そのものが今回のテーマではない。英国政府(Defra、 英国環境・食料・農村地域省)が発表したなぜ〝自給率向上を国策にすべきでないか〟の理由を真正面から論証した文書がある。原題を直訳すると「食料安全保障と英国〜証拠と分析文書〜」。10章100頁に渡り、緻密な議論が紡がれている。日本と同じ純輸入国でありながら、日本と全く逆の政策判断をした英国政府の主張とその根拠は何かを紹介したい。

結論からいうと、「農業生産による食料自給率の変動を中心に食料安全保障を議論することは、不均衡(unbalanced)であり、根拠薄弱で(weak)、取るに足らず(poor)、見当違いで(misplaced)、判断を見誤らせる(misleading)」。辛辣な形容である。なぜそうなのか。文書の大意を一気にまとめた。

食料安全保障(Food Security)とは、発展途上国にとってまさに〝生か死の問題〟であり、それを高めるための〝挑戦〟が現在進行中である。これが、FAOを初めとする国際機関や学術論文で使われている食料安全保障の意味である。一方、英国のような豊かな先進国、とくに食料の輸入比率の高い国が自国の食料状況を指すのに、食料安全保障という同じ単語を使用することがある。しかし、欠乏より過剰摂取による肥満や病気、食物ロスが蔓延する社会において、この言葉を使う際には、分別ある認識をしておかなければならない。(以下つづく)

>>農水捏造 食料自給率向上の罠 全記事公開


浅川芳裕blog
※記事全文は農業経営者03月号で
Posted by 編集部 | 12:29 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
時流 | 土門「辛」聞

石破発言は農協改革の覚悟あってのものか? | 農業経営者 3月号 |  (2009/03/01)

【土門 剛 -profile

混乱と尻すぼみ?石破茂農水大臣の発言



農政が急ピッチだ。

農水省改革チームがまとめた「緊急提言」に、「へぇ〜、ここまで書くのかい」とビックリしていたら、今度は石破茂大臣の「減反見直し」発言が飛び出してきた。

暮れも押し詰まった12月28日、フジテレビ系の報道番組に出演した石破茂農水大臣。減反政策について、「本当にこれでいいのかという問題意識は持っている」と述べたのである。

番組終了後には記者団にこんな解説を残している。

「農業の持続可能性が失われる原因のひとつに生産調整(減反)があるという認識を持っている」

農業の持続可能性、英語では「サステイナビリティ」を直訳した日本語表現のようだが、適当な訳語が見つからない。時に有機オタッキー系の面々が商品イメージを伝えるために口にしたり、あるいはガチガチの保護主義者が理論的拠り所のひとつとして使っているイメージが持たれがちだが、2008年フードパニックを経験して以降は、もっとリアルな意味合い持つ言葉に変質したのではなかろうか。

連作障害とは無縁で世界に誇れる水田をもっと有効利用すべきで、そうすれば、国民の悲願である食糧自給率の向上も実現できるのではないか。

減反が、そのポテンシャルを覆すようであれば、誰が見ても、これは問題である。大臣の見直し発言も、そんな素朴な発想がモチベーションになっているのではないかと思った。

ところが大臣発言。巷では混乱を招いている。そのテレビ番組でも、早とちりした司会者が、「どうですか、生産調整を止めるのですか」と畳みかけるように質問してきた。これに石破大臣は、「別に廃止を前提としてものを考えているわけではない」と釈明に大わらわだった。

そんなこともあってか、年初(1月5日)の会見で、石破大臣はこう補足説明をしてきた。

「他方において、どうしても不公平感というものが払拭されない、つまり、一生懸命生産調整をして、何とか値段というものを維持しているわけだけれども、『私は生産調整しませんよ』という人がどんどん作ったとして、それは、皆が努力をして維持をしている価格に乗って、彼らが経済的な利益を得るということであって、どうしても真面目にやった人が、俗な言い方をすれば、『正直者が馬鹿を見る』ような形というものは払拭をされないということ、更に、条件不利地域なんか特にそうなのですけれども、あちらこちらに、コメを作れない、そして農業をやる人がいない、結果として、望んだものではないが、耕作放棄地というものがでて、地域の活力というものが失われているということも、また事実だと思っております」

この大臣会見を読んでちょっと拍子抜けしてしまった。とりわけ「不公平」や「正直者が馬鹿を見る」のフレーズは、減反政策が問題になると、必ず出てくる。フリーライダーという言い回しもある。

厳密な意味でのフリーライダーは、制度も生産調整も関係ないオッパッピー生産者や集荷業者たちのことを指す。この面々は、政府が米価を下げていけば、彼らの事業基盤は早晩崩れるに違いない。品目横断的経営安定対策を本格導入すれば、制度を理解することはもちろんのこと、生産調整にも取り組まなければ、コメを集荷することもできなくなるはずだ。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者03月号で
Posted by 編集部 | 09:28 | この記事のURL | コメント(18) | トラックバック(0)